対談を読む

クロイトトンボ

 21日は二十四節気の一つ小満である。草木が茂って天地に満ちる時期を云う。
 20日、晴れる。最高気温27℃、最低気温17℃。乾燥した風が吹く。
 公園の池を訪れた。睡蓮(スイレン)の花が水面に広がって、あちこち咲いている。美しい光景。人々が睡蓮の花にカメラを向けている。
 小さなトンボが睡蓮の葉に止まっていた。
 クロイトトンボである。葉の上に、太陽からの光を浴びているのだった。トンボたちは水面を低く互いに絡み合うように飛んでいる。
 やや高いところを大きなトンボが水平飛行で池を周遊している。
 ヤンマの仲間のようだ。ギンヤンマかな。葉に屈曲した姿勢で止まっていた。
 空気が乾燥しているためか、池からは蛙の鳴き声は聞えて来ない。


 藤井光と都甲幸治の対談「アメリカ文学アメリカを語らなくなった」を読む。中央公論3月号に所収の対談。文学にみる現代アメリカを語っている。

 都甲 藤井さんが面白いのは、僕より一〇歳ほど若いのに、運転免許を取らない、手書きで翻訳をやる、自動車じゃなく自転車に乗る、電子書籍化しない作家を褒める、という、「アメリカ的」な動きに背を向けた堂々たるアナログ宣言をしていることです。(後略) 216ページ

 都甲 (前略)マーク・トウェインハーマン・メルヴィルといった作家たちは、生涯アメリカとは何かを探し求めていました。それが二十一世紀になってようやく、アメリカってバラバラだよね、と普通に言えるようになったのではないか。これは新しい状況とも言えるし、もともとあったものが普通に見えるようになったとも言える。ここ二〇年ぐらいで、どんどん箍(たが)が外れて、別に英語を喋らなくてもいいんじゃないの、みたいな状況すら生まれている。  217ページ