今朝九月草樹みづから目覚め居て

 9月7日は、二十四節気のひとつ白露であった。白露は秋分の十五日前で、このころから秋らしくなる。夜、虫の鳴き声が聞こえるようになった。リーン、リーン、リーン・・・。
 今年の夏は猛暑で残暑も厳しかったが、ようやく朝夕がしのぎやすくなった。
 公園の池へ久し振りに寄るとハスの葉にシオカラトンボを見つけた。
 

 「今朝九月草樹みづから目覚め居て
 「秋玲瓏人と真向きに山の顔
 「八ヶ嶺(ね)のどの秋嶺を愛すべき
 「荒都遠しここ秋雲の母郷たり

 中村草田男の俳句で、昭和二十二年(1947年)の句です。
 前書きは、「九月一日出京、三日帰京、長野県諏訪郡本郷村立沢なる小池英三氏の許に二泊八ヶ岳山麓富士見高原に遊ぶ。

 
 「週刊文春」での連載が読めなくなった小林信彦さんですが、「文藝春秋」10月号で久しぶりに読みました。
 「偏愛の日本女優たち」に、八千草薫について書いていました。出演した稲垣浩監督の映画「宮本武蔵」のお通役の八千草薫の魅力、西川美和監督の映画「ディア・ドクター」の老女役の演技の絶妙さを語っていました。また小林さんが宝塚時代の八千草薫を観た時の印象記は時代証言として貴重なものですね。