乾いた笑い

 新潮社のPR誌『波』5月号に、「追悼 志村けんさん・宍戸錠さん」と題して小林信彦さんの文章が掲載されていた。「『決定版 日本の喜劇人』最終章・改――高度成長のあと」と「追悼宍戸錠さん」名評論再録。後者は、『日本の喜劇人』第六章より再録、タイトルは「醒めた道化師の世界」日活活劇の周辺。

 宍戸錠といえば、鈴木清順監督の映画『殺しの烙印』(1967年、日活)で殺し屋を演じた宍戸錠が電気炊飯器の炊きあがったご飯の匂いに酔いしれるシーンが可笑しくて笑ったことであった。「追悼宍戸錠さん」名評論再録から一部引用すると、

 《学生生活二年で、彼は日活のニューフェースとなる。昭和二十九年、日活が映画制作を再開した年である。

 以後、宍戸錠は、つねに、フィルムのなかで、そのユニークな個性と乾いた笑いを開拓しつづける。》