映画「月曜日が嫌い」

《今年もポーランド映画祭では、民主化以前に製作された秀作から近年製作された感動の実話ドラマやコメディなど、バラエティーに富んだ作品の数々をお届けします。
 巨匠アンジェイ・ワイダ監督の代表作『灰とダイヤモンド』、民主化以前に製作されたコメディ『月曜日が嫌い』、アカデミー賞の監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3部門にノミネートされた『COLD WAR あの歌、2つの心』、共産主義体制に反発しながら革新的なサウンドを生み出し続けたジャズ・ピアニストのドキュメンタリー『コメダコメダ』、など計10作品を上映します。これらの作品から、ポーランドの過去と現在、そして未来を体感してください。》

 今年のポーランド映画祭からの一本で、タデウシュ・フミェレフスキ監督の映画『月曜日が嫌い』(1971年、ポーランド、103分、カラー、日本語字幕、デジタル)を鑑賞する。

 政府の任務で出張に来たものの、なかなか目的地へたどり着けないイタリア人。学校創設のために寄付をするアメリカ人。朝は牛乳配達、昼間は工事現場で働くポーランド人。ワルシャワを舞台に、愛すべき人々の生活を描いたコメディ。その牧歌的で楽しい人間模様は共産主義政権下で製作されたとは思えないほど。ポーランド映画祭パンフレットより)

 ポーランドワルシャワの街を舞台にしている。午前零時からの二十四時間のワルシャワの街に起こる登場人物たちの巻き起こす静かなナンセンスな笑いとユーモアのある作品。楽しい人間模様を味わえる。映画祭パンフレットにあるように共産主義政権下で製作されたとは思えない。スポーツカーのエンジンを始動させるためのクランク棒を杖(つえ)がわりにして路面電車のレール上に滑らせて、眠りながら歩き続ける(有名人らしい)男、交差点で交通整理をする警官と幼い男の子、おしっこをしたくなった男の子をパトカーが呼ばれて警察署に運ばれる。朝の牛乳配達人がアパートに配るときに起こるドタバタの混乱。昼間工事現場で仕事をさぼって眠っていてクレーンで高い所へ吊り上げられてしまった作業員、昼食になっても誰も気づかない。トイレットペーパーが品不足であることがわかる場面がある。イタリアからポーランドへ役人に会いに来たイタリア人が空港でタクシーに乗るも役人一行とすれ違いを何度も繰り返し、ハチャメチャの混乱ぶりに大笑い。ポーランド系のアメリカ人がワルシャワに学校建設に寄付をした開校式に間に合わないタクシートラブルなど、とぼけた味わいのある喜劇映画である。