対談3

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 ドングリが鈴なりに実っている。マテバシイの実で、長楕円形の形で茶色だ。

ブナ科の常緑高木。九州以南の海岸近くに生え、高さ約一〇メートル。葉は長倒卵形で厚く、裏面は褐色。六月ごろ、雄花穂と雌花穂とを上向きにつける。実はどんぐりで、あく抜きをせずに食べられる。防風林・都市緑化樹にも用いられる。さつまじい。まてばがし。まてがし。  『大辞泉

 特集・稲垣足穂全集

 対談 「稲垣足穂に会ったころ」矢川澄子荒俣宏

 また、前回の「対談」のつづきになります。

矢川 (中略)三島由紀夫にせよ、澁澤龍彦にせよ。その意味では健全な小市民として、三十代に親のために家を建てちゃったりして、足穂ほどの放蕩三昧には浸れなかった。そういう意味で、オリコウさんじゃないんですよ、足穂は。どっちがモダンでハイカラか、いまとなってはわからない面もありますけど。

荒俣 そうですね。足穂さんなんかの話もよく読んでみると、最後のほうでかならずちょっと相手を突っ放すようなところがあって。「俺はまた違うところへ行くから、あんたはまた別のところへ行きなさいね」みたいなところがありますよね。

 いわゆる君子の交わりは淡いに限るというような意味での、紳士術みたいなのがありますね。やっぱり紳士文学なんですよ。都会のソフィストケートされた文学。ダンディズムなんですね。そこがとても面白いところだと思います。

 その足穂作品がまた若い人たちに読まれるということで、デジタル世代の目に足穂さんがどう映るのか、注目しなければなりませんね。