片岡一郎『活動写真弁史』

 みすず書房の「みすず」1・2月合併号を手に取って見る。2020年読書アンケートで毎年恒例になっている。映画本で岡田秀則氏が、ケヴィン・ブラウンロウ『サイレント映画の黄金時代』(国書刊行会)を挙げていた。
 そして《無声映画といえば、二〇二〇年は片岡一郎『活動写真弁史』(共和国)の出版も快挙だった。》とコメント。
 この『活動写真弁史』は、週刊読書人の年末恒例のアンケート特集「二〇二〇年の収穫」で佐久間文子氏が興味深く読んだ、と挙げていた注目の本だった。
 1月に周防正行監督の『カツベン』と10月に小津安二郎監督の『東京の女』(1933年)を澤登翠さんの活弁で観て、カツベンに興味を深めた年だった。11月のレイ・C・スモールウッド監督の『椿姫』(1921年)は活動弁士佐々木亜希子さんによる活弁シアターだったが、見られず残念。「みすず」2020年読書アンケートに、もう一人この片岡一郎の本を挙げていたのが武藤康史氏で、《昔の語り芸のことから説き起こし、初期映画史を駆け抜け、「トーキー時代とその後の弁士たち」(最終章の題)にまで説き及ぶ、現役の活動写真弁士でもある若き著者による労作。》とありとても参考になった。

 

活動写真弁史: 映画に魂を吹き込む人びと

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サイレント映画の黄金時代

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