鴨長明ハイカラ説

 朝晩は過ごしやすくなったが、昼間はまだまだ暑い。最高気温30℃。
 日を浴び、鮮やかな色の百日草が、咲きつづけている。暑さに強く初夏から晩秋まで長く咲く花です。丈夫で乾燥にも強い。茎が直立して背が高くなり、育てやすい花ですね。花はつぎつぎと百日以上も咲いています。

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 五木寛之の『箱舟の去ったあと』という対談集(五木寛之討論集)にある稲垣足穂との対談「反自然の思想」に鴨長明について語られている。

 

 五木 たとえば鴨長明なんかが当時仲間を集めて、唐渡りの酒を飲んで、琵琶かなんか弾いて一晩じゅう騒いで、秘曲という、弾いてはいけない曲をそこで演奏して、それを讒訴(ざんそ)されてガックリきて、ついには山へ籠ったりするわけなんだけれども、それを考えてみますと、当時の琵琶なんていうのは、外国から入ってきた新しいエキゾティックな楽器だったと思うんですね。ですから、いまでいうと、エレキギターみたいなものだったと思います。それで大陸人みたいな格好をして、いまでいうマリファナみたいな外国渡りの酒を飲んで、一晩じゅうエレキを弾きまくっていた。そういう男だと思うとちょっと愉快になってくる。
 稲垣 ハイカラな人です、あれは。
 五木 ぼくもそう思いますね。はじめっから世捨人みたいに思っていたけど。
 稲垣 あんたのようにハイカラでなければあんな文章書けませんよ。
 五木 からかわないでください。(笑)しかし鴨長明イカラ説というのは、ぼくはごくまっとうな見方だと思うんですよ。ですから、笙(しょう)とか篳篥(ひちりき)とかああいう楽器にしても、いまでいうハモンドオルガンとかフリュートみたいなものだと考えられる。当時のモダン・ボーイが集まってビートルズのまねやっていたんです。

 

 付記、この対談は、五木寛之対話集『正統的異端』(深夜叢書社)に、「反自然の思想を論ず」というタイトルで再録されています。