講談社の雑誌「本」10月号の連載「鉄道ひとつばなし」(原武史)を読んだ。
「小熊英二と原武史」というタイトルで、二人が近現代史を主な研究対象としているのに二人の学風がまったく異なるのはなぜかを考えている。
小熊さんの近著『生きて帰ってきた男』を読んだ原さんは、この本で小熊さんがどういう環境で育って来たのかを知る。
同じ東京の西郊で育って来た二人だが、同じ(旧)北多摩郡であるのだが、総じて小熊さんが育った地域の方が、原さんが育った地域よりも西側に属している。
この微妙な差が、実は決定的な体験の違いをもたらしている、と原さんは見立てるのだ。
具体的に二人の利用する鉄道やバスといった交通、横田基地や立川基地に近い小熊さんは鉄道的に見ても米軍の影が濃い。原さんの西武鉄道は米軍の影はきわめて薄かったと述べる。
中央線文化と西武線文化の違いは、大きいという。
他に、北多摩郡久留米町は七〇年に東久留米市になったと、この文で知る。
- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (36件) を見る