2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

落語「稽古屋」と古今亭志ん生

昨夜のNHKラジオ深夜便の落語百選「名人芸を味わう」で古今亭志ん生の落語「稽古屋」を聴く。 ゲスト、池波志乃。解説、田中優子。 昭和34年10月1日NHKラジオ第1放送で放送された音源から聴いた。 ゲストの池波志乃さんと解説の田中優子さんの談話…

釘打つて今日はあそぶ子秋風に

先日、干潮の砂浜に巻き貝を観察した。 細かい砂粒ではなく、小石と砂の混じった砂浜に棲息(せいそく)している。 一面に群れて広がっている。調べると、海蜷(うみにな)であった。かたつむりが動くようにゆっくりゆっくりと移動している。 じっとしている…

月まとも輝きにけり幼な顔

24日は二十四節気のひとつ霜降であった。 朝晩が冷え込み、樹木の紅葉がすでにはじまっている。 26日、快晴。最高気温21℃、最低気温9℃。 昨夜は十三夜の月で美しい月が眺められた。 「警報下秋灯に寄せ時計巻く」 「働きし身のさわやかに夜の菊」 「…

『ヨーロッパ特急』を読む2

阿川弘之著『ヨーロッパ特急』は昭和38年(1963年)9月発行の本である。 一九六三年四月二日 機上。 エール・フランス一九七便、香港、バンコク、ニューデリー、テヘラン経由パリ行。 目次 第1日 機上 第2日 ローマ 第3日 パリ 第6日 ハンブルグ …

『ヨーロッパ特急』を読む

阿川弘之著『ヨーロッパ特急』を読み終える。 阿川弘之著『ヨーロッパ特急』は昭和38年(1963年)9月発行の本で、装丁は柳原良平。表紙は柳原良平のイラストだ。 六十日間、阿川弘之は、ヨーロッパ、ソ連、アメリカ合衆国を鉄道、飛行機、車、豪華客…

天の星、海の星

17日、快晴の日の出前に東の空を眺めると明るい星が三つ並んでいた。 我らの太陽系の惑星が接近しているのである。 一番に目立って明るく大きいのが金星であった。 金星の左下の方に、やや小さく見えるのが木星で、その左にちょっと下がった位置に火星も見…

映画「それでもボクはやってない」

9月から10月にかけて開催されている「特集・映画美術監督 部谷京子」からの一本。 周防正行監督の映画『それでもボクはやってない』(2007年、フジテレビジョン、アルタミラピクチャーズ、東宝、143分、カラー)を鑑賞する。 出演は、加瀬亮、瀬戸…

秋の山静かに雲の通りけり

秋晴れの日がつづく。最高気温23℃、最低気温11℃。 朝晩は冷え込むが、昼は気温が上がり、空気が非常に乾燥している。風は穏やかだ。 柿の実は枝に鈴なりで、色付いている。見た目では渋柿か甘柿かは分からない。 「渋柿の下に稲こく夫婦かな」 「秋風や…

「紀伊國屋書店出版部 history 1955―2015」の年譜から

紀伊國屋書店のPR誌「scripta」37号を頂く。 出版部60周年記念特集号であった。 冊子の真ん中に別刷りの用紙に「紀伊國屋書店出版部 history 1955―2015」と「book review 新刊書評より」とエッセイ三篇(上野千鶴子、池内了、岡崎武志)が収録さ…

秋の船本土離るる煤(すす)降らす

街路樹のツバキが実を付けていた。直径五センチほどもあり 艶々としている。 「夜寒来て関門の朝あたたかく」 「秋の船本土離るる煤(すす)降らす」 「海峡を流るるものや手袋も」 前書は、「健史を伴ひて帰郷す 十八句」とある。 引用句は、冒頭の三句であ…

雑誌『ちゃぶ台』のこと

書店でちょっと変わった装丁の雑誌を見つけた。人文科学書の新刊コーナーの平台に積まれていた。 『ちゃぶ台』というタイトルの雑誌で、「移住×仕事」号だった。 『ちゃぶ台』に、内澤旬子「移住してわかったこと」という文が掲載されている! この『ちゃぶ…

行秋(ゆくあき)を踏張てゐる仁王哉

8日は、二十四節気のひとつ寒露で、晴れる。最高気温25℃、最低気温15℃。 空気は非常に乾燥している。この時期は柿や無花果が出回っている。 「祭文(さいもん)や小春治兵衛(こはるじへえ)に暮るる秋」 「行秋(ゆくあき)を踏張てゐる仁王(におう)…

荒川洋治著『文学の空気のあるところ』

荒川洋治著『文学の空気のあるところ』で高見順への筆者の話が興味深かった。 高見順についての文学講演を活字にしているので、筆者の肉声が聞こえて来る。 高見順の日記は、読むといろいろ発見がある。「敗戦日記」や「終戦日記」として文庫にもなっていて…

「曰くありげ」と落語「百川」

ザクロの果実が鮮やかな色をしている。 ザクロ科の落葉高木。葉は長楕円形。六月ごろ、筒形で多肉質の萼(がく)をもつ橙赤色の花をつける。果実は球形で、紫紅色に熟すと裂けて種子が現れる。果実の外種皮を食用に、また樹皮を駆虫薬に用いる。ペルシア地方…

木の実落つきびしき音にむちうたる

街路樹のコナラの実が散っていた。 「昼餉(ひるげ)置く落葉は広くみな清し」 「木の実落つきびしき音にむちうたる」 中村汀女の俳句で、昭和十五年の句です。 新刊の中野翠著『いちまき ある家老の娘の物語』の書評、「波」10月号所収。 二十年かけて完…

山口昌男著『回想の人類学』のこと

「一冊の本」10月号に、新刊で山口昌男著『回想の人類学』の広告があった。 参照:『回想の人類学』http://www.shobunsha.co.jp/?p=3683 《本書は、個人雑誌『山口昌男山脈』に連載した前半(第5章まで)に、雑誌休刊後も続けられたインタヴュー(未発表)…

「鉄道ひとつばなし」学風の違い

講談社の雑誌「本」10月号の連載「鉄道ひとつばなし」(原武史)を読んだ。 「小熊英二と原武史」というタイトルで、二人が近現代史を主な研究対象としているのに二人の学風がまったく異なるのはなぜかを考えている。 小熊さんの近著『生きて帰ってきた男…

柿の木であいと答へる小僧哉

街路樹のナツメが色づいている。赤黒くなっている実も見られる。 鳥がつついているのか、木の周辺にナツメの実が落ちて散らばっていた。 「渋柿と鳥も知て通りけり」 「柿の木であいと答へる小僧哉」 小林一茶の俳句で文政三年(1820年)の句です。