2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鉄道ふたつばなし

今月3日に亡くなられた阿川弘之さんの新刊書が出ている。 阿川弘之著『座談集 文士の好物』(新潮社) 阿川弘之著『食味風々録』(中公文庫) 講談社のPR誌「本」9月号の連載「鉄道ひとつばなし」(原武史)で「六月十三日午後の事」を読む。母の死の知ら…

「ある文学事典の話 黒田憲治」3

山田稔著『天野さんの傘』の一篇、「ある文学事典の話 黒田憲治」は、一九五四年九月に福音館書店発行の『西洋文学事典』の実際の編者が多田道太郎と黒田憲治の二人であった。 当時は、桑原武夫監修とあるのみで黒田、多田両人の氏名は表に出ていなかったと…

「ある文学事典の話 黒田憲治」2

山田稔著『天野さんの傘』(編集工房ノア)の「ある文学事典の話 黒田憲治」に、多田道太郎と黒田憲治の人物評があり、一九五六年七月にポール・アレブレ著『伝記 スタンダール』(黒田憲治訳)が人文書院から出たのを、山田さんが黒田さんから謹呈された頃…

「ある文学事典の話 黒田憲治」

山田稔著『天野さんの傘』(編集工房ノア)で、「裸の少年」につづく「ある文学事典の話 黒田憲治」を読むと、山田さんの多田道太郎と黒田憲治の人物評がある。 《当時、黒田さんは三十を少し出たころだったが、若さに似ず大人の風格のようなものが備わって…

「裸の少年」のこと

山田稔著『天野さんの傘』(編集工房ノア)を読む。本の装幀は林哲夫さんである。 二〇一三年から二〇一五年にかけて書かれた未発表の五篇を含めて十一篇を収める。 その中で未発表の「裸の少年」という文が特に印象に残る。 冒頭、風呂場の洗面台の鏡に映っ…

映画「モンタナ 最後のカウボーイ」

「ハント・ザ・ワールド ハーバード大学 感覚民族誌ラボ傑作選」から『モンタナ 最後のカウボーイ』(2009年、アメリカ、101分、カラー、日本語字幕)を見ました。 監督はイリーサ・バーバッシュ、ルーシャン・キャステーヌ=テイラーという人です。 …

映画「リヴァイアサン」

「ハント・ザ・ワールド ハーバード大学 感覚民族誌ラボ傑作選」の一本。 「リヴァイアサン」(2012年、アメリカ、フランス、イギリス、87分、カラー)を観る。 原題、LEVIATHAN。 ニューベッドフォードかつて世界の捕鯨の中心地であり、メルヴィルの…

映画「ニューヨーク ジャンクヤード」

「ハント・ザ・ワールド ハーバード大学 感覚民族誌ラボ傑作選」の一本。 「ニューヨーク ジャンクヤード」(2010年、アメリカ、フランス、80分、カラー)を映像文化ライブラリーで観る。原題はFOREIGN PARTS。 監督、ヴェレナ・パラヴェル、J・P・…

羅(うすもの)や青無花果は太り居り

晴れる。最高気温33℃、最低気温22℃。空気が乾いている。 無花果(いちじく)の木に無花果のまだ色づいていないのを見つけた。 食べごろは、まだまだである。 「羅(うすもの)や青無花果は太り居り」 「羅の肩をおほへる稲光」 「暁のその始りの蝉一つ」…

映画『ピクニック』

ジャン・ルノワールの映画を見た。 『ピクニック』(1936年、フランス、40分、白黒)を8月8日から一週間限定で上映中。 ちょうどお盆で、観客が多い。 パリ近郊のセーヌ川の川岸に馬車でパリからピクニックにやって来た都会の商人の娘アンリエット(…

加藤秀俊著『暮らしの世相史』のこと

活動弁士の佐々木亜希子さんによるアルバート・パーカー監督の映画『ダグラスの海賊』(1926年、アメリカ、85分、カラー、無声)を映像文化ライブラリーで先月鑑賞したのだった。 「夏休み活弁シアター」パンフレットより再録。 17世紀の地中海で海…

鳴く蝉は海へ落つる日獨り負ふ

8日は二十四節気のひとつ、立秋である。暦(こよみ)の上で秋がはじまる日。 晴れる、最高気温35℃、最低気温26℃。連日、猛暑日。 クマゼミが朝早くから鳴く。遅れてアブラゼミも鳴きはじめる。 「鳴く蝉は海へ落つる日獨り負ふ」 「向日葵(ひまわり)…

けざやかに口あく魚藍の山女魚かな

晴れる。最高気温36℃、最低気温26℃。昼は空気が乾いているが、連日熱帯夜がつづく。 もうすぐ立秋なのだが、猛暑日がつづいている。 「雨祈る炎のかぐろくて盛夏かな」 「日盛りのあごつるして貧馬かな」 「けざやかに口あく魚藍(ぎょらん)の山女魚か…

“しもおれ”仲間

『ユリイカ』8月号は江戸川乱歩・特集号だった。 扉野良人の「乱歩と太郎とロビンソン」で、松山猛さんに言及されていて驚く。 池内紀の連載「記憶の海辺 一つの同時代史」は「神様のノラクラ者 あるいはある独行者のこと」と題した文章で、おじにあたる人…