2020-01-01から1年間の記事一覧

年末の山茶花

寒波がやって来た。最高気温5℃。雪混じりの寒風が吹く。晴れて日ざしの中にいると暖かく感じられる。街路樹の山茶花(サザンカ)が満開で美しく日差しに照らされていた。 今年は、ラジオ番組で「高橋源一郎の飛ぶ教室」をよく聴いた。毎回、本の紹介とゲス…

胸中の凩咳となりにけり

文春文庫で『マスク』というスペイン風邪をめぐる菊池寛の小説を読みました。解説が辻仁成。1920年、文芸誌「改造」に発表される。菊池寛記念館でもダウンロードで、小説「マスク」は読めるようです。 参照:mask.pdf (city.takamatsu.kagawa.jp) 菊池寛…

「本よみうり堂」から

日曜日の新聞で、読売新聞の「本よみうり堂」の書評欄から「ポケットに1冊」で紹介された菊池寛の文春文庫オリジナル本に注目した。タイトルは『マスク』。スペイン風邪をめぐる小説集。「私も、新型ウィルスは怖い。」 マスク スペイン風邪をめぐる小説集 …

PR誌のこと

パブリッシャーズ・レビューの「みすず書房の本棚」が届いた。みすず書房のPR誌である。ご愛読ありがとうございました、という本号をもって発行終了のお知らせがあった。 本紙の前身「出版ダイジェスト」に《みすず書房は七六年から特集版に参加し、勁草書…

この3冊

師走の風が吹く。山茶花(サザンカ)の花の見られる季節になった。 毎年、この時期に新聞社の読書欄で、読書アンケート特集が組まれている。12日の毎日新聞の2020年の「この3冊」上に、荒川洋治さんが『山田稔自選集3』を1冊に選んでいた。 今年、…

新刊広告から

「ちくま」11月号に、寺村摩耶子著『オブジェの店』という本の広告があった。青土社の新刊だ。《無用、無益、無意味、無価値の魅力 文学・美術・絵本に出現したオブジェは人の深層意識・無意識を顕在化させ、不思議・驚異へと挑発し続ける! 本邦初の本格…

PR誌のこと

先月、本屋で講談社のPR誌「本」が12月号で休刊になるというお知らせがあった。先日、最終号の「本」12月号を頂いた。いろいろ思い出のあるPR誌である。この12月号が、通巻533号目になるようだ。講談社の新刊案内と連載記事を愉しませてもらった…

四つ葉のクローバー

出版社のPR誌に「白水社の本棚」2020年秋号がある。新刊案内やコラムがあり、「愛書狂」に、『本のリストの本』をめぐるコラム記事。一部引用すると、《共著者の一人・南陀楼は書く。「インターネットのない時代には、著者や出版社、刊行年などひとつひ…

茶の花の垣たえだえに草の中

茶畑の茶の花が見ごろになっていた。白い花びらです。初冬の花ですね。葉は長楕円形です。樹下に点々と白い花びらが散っていました。 「茶の花のとぼしきままに愛でにけり」 「茶の花の垣たえだえに草の中」 松本たかしの俳句です。「茶の花の垣たえだえに草…

「本よみうり堂」から

読売新聞の書評欄「本よみうり堂」に、長嶋有著『今も未来も変わらない』という本の書評を村田沙耶香さんが書いていて注目しました。気になる本であります。 書評から一部引用すると、《この小説は、その平凡な光景に実は宿っているものを、きちんと日常の中…

栗を手ぐさの松山訛のみならず

金木犀(キンモクセイ)の強い花の香りが匂う季節になりました。小さな橙色の小花が密集しています。 「栗を手ぐさの松山訛のみならず」 昭和二十一年(1946年)の石田波郷の俳句です。 この句の前書きに、「中村草田男氏」とあります。 石田波郷は、草…

ジャン=ピエール・モッキー特集から

先日「映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.02」オリヴィエ・ペール(「アルテ・フランス・シネマ」)によるセレクションで、ジャン=ピエール・モッキー特集を観ました。 『今晩おひま?』(1959年)、『ソロ』(1970年)、『赤いトキ』(197…

映画『ポルトガル、夏の終わり』

アイラ・サックス監督の映画『ポルトガル、夏の終わり』(2019年)は、ポルトガルの避暑地シントラの晩夏にバカンスを過ごすフランキーという名の女優をイザベル・ユペールが演じている。癌をわずらっていて夏の終わりに、家族と友人を呼び寄せる。自ら…

映画『ティップ・トップ ふたりは最高』

先月「映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.02」オリヴィエ・ペール(「アルテ・フランス・シネマ」)によるセレクションのセルジュ・ボゾン特集を観た。 『ティップ・トップ ふたりは最高』(2013年)と『マダム・ハイド』(2017年)である。 二…

映画『シノニズム』

最近見た映画ナダヴ・ラピド監督『シノニズム』(2019年)。 出演は、トム・メルシエール、カンタン・ドルメール、ルイーズ・シュヴィヨット。第69回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。 イスラエルからフランスのパリに移住したイスラエル人青年のゼロか…

秋風が吹く

秋風が吹く。夏日で最高気温は26℃。晴れて日差しが強い。白いムクゲの花が咲いている。 アオイ科の落葉低木。高さ約三メートル。葉はほぼ卵形で、縁に粗いぎざぎざがある。夏から秋にかけて、紅紫色の五弁花が朝開き、夕方にしぼみ、次々と咲き続ける。中…

対談3

ドングリが鈴なりに実っている。マテバシイの実で、長楕円形の形で茶色だ。 ブナ科の常緑高木。九州以南の海岸近くに生え、高さ約一〇メートル。葉は長倒卵形で厚く、裏面は褐色。六月ごろ、雄花穂と雌花穂とを上向きにつける。実はどんぐりで、あく抜きをせ…

対談2

秋の風が吹いている。心地よく乾いた風だ。山野草の実が色づいて宝石のように輝いていた。つる性の植物である。 対談 「稲垣足穂に会ったころ」矢川澄子・荒俣宏 前回の「対談」のつづきになります。 荒俣 一九〇〇年頃に生まれた人というのは、僕が知ってい…

対談

もうすぐ秋分の日。暑さ寒さも彼岸まで。吹く風が秋の深まりを感じさせる。 紅紫色のハギの花が満開だ。 マメ科の落葉低木。山野に自生し、枝はあまり垂れない。葉は三枚の楕円形の小葉からなる複葉。秋、紅紫色蝶形の花が咲く。庭木にする。 『大辞泉』 本…

唯の野に唯の森あり秋新た

朝晩が涼しくなる。秋新た。青空を背にして花梨(かりん)の実が鈴なりだ。卵円形で黄緑色をしてる。まだ熟してはいないようだ。表面はきれいでつるつるしている。実はカチカチに硬い。 「唯の野に唯の森あり秋新た」 松本たかしの俳句で、昭和十三年(19…

「待つ」ということ

9月4日金曜日、夜のラジオ番組で「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴きました。 「秘密の本棚」は、鷲田清一の「『待つ』ということ」という本をめぐる高橋さんの話で、50年前の高橋さんの思い出に、人を「待つ」という体験談も語られました。鷲田清一さんの臨…

新刊案内から

猛暑の日々を、夾竹桃の紅色の花が咲きつづけている。 キョウチクトウ科の常緑低木。株立ちとなり、葉は竹に似て、三枚が輪生。乳液に毒がある。夏、紅色の花を開く。花は先の五裂する筒形であるが、八重咲きが多く、白色・淡黄色などもある。インドの原産。…

PR誌から

ツバキの実が、やや色づきはじめていました。常緑樹で葉に艶があります。 先日、講談社のPR誌「本」9月号を入手し、新刊エッセイを見ると、四方田犬彦の「愚かしさとは何か?」が掲載されていました。冒頭に、《このたびわたしが上梓する『愚行の賦』は、愚…

カツベンっておもしろい!

イチョウの木の実が見られる季節になった。下から眺めると丸い形をしている。実は薄く色づきはじめていた。 イチョウ科の裸子植物。一科一種。落葉高木で、高さ約三〇メートルに達する。葉は扇形で中央に裂け目があり、秋に黄葉する。雌雄異株。春、葉の付け…

「図書」8月号から

ザクロの木に果実が鈴なりになっていた。葉はつやつやとした光沢がある。ザクロの実をさわると硬い。 「図書」8月号に連載が始まった、四方田犬彦の「虚言の文学者」(大泉黒石ーー1)を読んだ。四方田犬彦著『月島物語』で大泉黒石について書かれていたの…

湯煙の中なる蝉に法師蝉

街路樹のオリーブの木に、くすんだ黄緑色の果実が鈴なりになっていた。二センチほどの大きさで、葉は細長く、実をさわると硬い。 モクセイ科の常緑高木。高さ七~一八メートル。葉は細長く、表面が暗緑色、裏面が銀色で、対生する。五~七月ごろ、黄白色の香…

おはぐろの舞ふとも知らで舞ひ出でし

先日、公園の池にショウジョウトンボや蝶トンボを見つけた。ショウジョウトンボはハスのつぼみにとまっていて、吹く風にゆーらゆーらと静かに風にゆられていた。チョウトンボは近くに寄っても逃げる気配がない。観察のため接近することができた。チョウトン…

「ちくま」7月号から

筑摩書房のPR誌「ちくま」7月号の新刊案内で、ちくま文庫の濱田研吾著『俳優と戦争と活字と』に注目しました。徳川夢声著『夢声戦中日記』(中公文庫)という本の解説が濱田研吾氏。昭和十七年五月、徳川夢声は芝居の巡業に東京から九州へ向った。その一行…

「ちくまさん」

筑摩書房のPR誌「ちくま」8月号の新刊案内を見ると、西村ツチカさんの「ちくまさん」が、書籍化されるという案内がありました。《ちくまさんは、ちょっぴりドジだけど勤労意欲溢れるナイスレディ。PR誌「ちくま」の表紙と表2を飾った好評連載がオールカラ…

「そもそもオリンピック」

スズキコージ「そもそもオリンピック」原画展をgallery Gにて観る。アーサー・ビナード作、スズキコージ絵による絵本の原画が展示されていました。絵本の原画を見ると、そもそも近代オリンピックとはどのようにしてはじまったのか、その辺の事情にもふれて、…