2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「ダグラスの海賊」余話

アルバート・パーカー監督の映画『ダグラスの海賊』(1926年、アメリカ、85分、カラー、無声)を活動弁士・佐々木亜希子さんの活弁で観ました。 17世紀の地中海で海賊船に襲われ父を殺された若者は復讐を誓う。彼は自らも海賊の一員となり、一目置か…

映画「ダグラスの海賊」

《昭和のはじめ頃の映画に音がありませんでした。日本では、話芸の伝統を受け継いで、巧みな語り口で映画を説明する「活弁」が発達し、活動弁士は映画館のスターとして人気を集めました。弁士の語りによって、映画は新たな輝きを放ちます。この機会に、ぜひ…

いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸

公園の池にクロイトトンボがハスの葉にとまっていた。 梅雨明け宣言が出る。最高気温31℃、最低気温25℃。晴れて湿度が低い。 蝉が朝から鳴き始めた。 夕方、月が久しぶりに眺められた。上弦の月である。 「いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸」 「駅路やうしろ…

向日葵に鉱山人のきる派手浴衣

公園の池にシオカラトンボを見つけた。 トンボは一箇所にとどまり続けている。 近寄っても逃げる気配がない。 「ながれ藻にみよし影澄む鵜船かな」 「蚊のこゑや夜ふかくのぞく掛け鏡」 「流水にたれて蟻ゐる草苺」 「向日葵に鑛山人のきる派手浴衣」 飯田蛇…

採る茄子の手籠にきゆアとなきにけり

晴れる。最高気温31℃、最低気温23℃。 ムクゲの花が鮮やかに咲いている。まだ梅雨が明けていない。 「採る茄子の手籠にきゆアとなきにけり」 「葉びろなる茄子一ともとの走り花」 飯田蛇笏の俳句で、昭和七年(1932年)の句です。 畑から採ったばかり…

「ガダルカナルさよなら航海記」のこと

公園の池にショウジョウトンボを見た。数センチまでトンボに近寄っても、逃げる気配がない。 トンボ科の昆虫。雄は全体に鮮やかな赤色、雌は橙(だいだい)色。夏、池沼に普通に見られる。本州以南、アジア東部の熱帯に広く分布。 『大辞泉』 阿川弘之著『女…

 月さして燠(おき)のほこほこと鮎を焼く

水辺にコサギが餌(えさ)を求めて動き回っていた。 七夕が過ぎた頃に毎年梅雨が明けるのだが、今年はまだである。 「七夕のみなひえびえと供物かな」 「月さして燠(おき)のほこほこと鮎を焼く」 飯田蛇笏の昭和六年(1931年)の俳句である。 「七夕の…

雲の峰雷を封じて聳(そび)えけり

先日、シオカラトンボを水辺に見かけた。 夏至から土用の過ぎまでの頃は、クロイトトンボ、シオカラトンボ、チョウトンボなどが水辺に多数飛び回っている。 トンボ科の昆虫。中形でもっとも普通のトンボ。四〜九月に現れ、成熟した雄は腹に青白粉を装う。雌…

チョウトンボと講演「書くことの幸福」

公園の池にチョウトンボを見つけた。ハスの葉にとまっている。 仲間のチョウトンボがやって来ると、ハスから離れて仲間の方へ飛んで行く。 しばらくすると戻って来て、ハスの葉に舞い降りる。飛んでいる姿はひらひらと翅を動かして舞い、蝶(ちょう)の飛び…

脱(ぬぎ)かゆる梢(こずえ)もせみの小河(をがは)哉

7日、曇り、二十四節気のひとつ小暑で、最高気温25℃、最低気温21℃であった。 梅雨があがり暑さが本格的になる時期である。しかし、まだ梅雨明け宣言はない。 街路樹の木々にナツメの木があって、実が鈴なりだった。 「脱(ぬぎ)かゆる梢(こずえ)もせ…

漱石の別号、愚陀仏

「波」7月号の森まゆみさんの連載「子規の音」第十八回を読みながら、坪内稔典編「漱石俳句集」の明治二十八年の句をみると、 「柳ちる紺屋(こうや)の門の小川かな」 「見上ぐれば城屹(きつ)として秋の空」 「秋の山南を向いて寺二つ」 「山四方中を十…

「子規の音」

月刊「波」7月号の連載「子規の音」(森まゆみ)の第十八回「神戸病院から須磨へ」を読む。 明治二十八年の子規を描いている。 この年は、日清戦争に記者として従軍し、帰りの船で喀血して神戸に上陸して神戸病院へ運ばれた。 五月二十三日から七月二十三日…

緑金の蟲芍薬のただなかに

夏至の前後のひと月余りの間は日の出が早く、日没が遅くなる。 短夜(みじかよ)という言葉がふさわしい時期だ。 公園の池のハスの葉に、クロイトトンボがいた。糸蜻蛉(いととんぼ)という名前にふさわしく細長いからだである。梅雨時であるのだが、蛙(か…