2011-01-01から1年間の記事一覧

大晦日(おおみそか)読書回顧

今週は晴天がつづき、早朝が気温1℃くらいまで下がり、最高気温10℃前後で過ぎる。 山茶花の花が満開で見頃だ。スズメが群れて集まって来る。 大晦日(おおみそか)の俳句で、正岡子規の明治二十八年の句に、 漱石虚子来る 「漱石が来て虚子が来て大三十日…

冬のモンゴル6

磯野富士子著『冬のモンゴル』を読み継ぐ。 ハスチョロー監督の映画『草原の女』(2000年、中国、91分、カラー)で興味をもったのが、ゲルという家だった。 主人公ゾル母子が内モンゴルの草原地帯でゲルに暮らしている。 映画では、母親のゾルがフェル…

冬のモンゴル5

昭和十九年十二月十七日、最後の野営地で、就寝中に寝袋の上にかけていた外套が、燃え残りの炉に落ちてしまい、直径十センチほどに円く焼け抜けてしまう。 Tさんという方から夫が拝借した「当節では絶対に手に入らない」外套を焦がしてしまうエピソード。 《…

冬のモンゴル4

昭和十九年十二月十五日、厳寒のモンゴル草原に駱駝車四台で、磯野富士子さんらは貝子廟よりいよいよ出発します。 一行はモンゴル人五人と磯野さん夫妻で、貝子廟より西ウジムチンへ向かうのですが、駱駝にひかれる車に乗って、どことも知れない道を車の振動…

冬のモンゴル3

昭和十九年十二月十五日 この日、爆音が響いて飛行機による荷物がやっと届いたので、いよいよ、磯野富士子さんらは貝子廟より西ウジムチンへの旅を始めることになります。 乗物は駱駝車で行くことになるのですが、この駱駝車は西ウジムチンを十二月四日に出…

冬のモンゴル2

磯野富士子著『冬のモンゴル』を読みつづける。 昭和十九年十一月二十四日。 絶好の飛行日和に張家口より貝子廟へ、三千メートルちょっと上の高度を飛行し、モンゴル高原の貝子廟へ着陸します。 滑走路は高度計が千メートルちょっと切れたところを指している…

冬のモンゴル

ハスチョロー監督の映画『草原の女』でゲル(家)という住居や服装などが印象的だった。 冬の厳寒の内モンゴルの草原の生活が興味深かった。冬は、草原ではなく一面の雪原である。 この冬のモンゴルを旅した磯野富士子さんの若き日の日記を読む。 これは昭和…

映画『草原の女』と「冬のモンゴル」

晴れて朝の最低気温は1℃、10℃まで気温が上がるが夕方にかけて冷え込む。 「中国映画特集」の一本、ハスチョロー監督の映画『草原の女』(2000年、中国、91分、カラー)を観に寄る。観客は20人ほど。 出演はハースカオワ、トゥメン、デンジバヤル…

「高峰秀子特集」

冬将軍がやって来た。日中、雪が舞い北風が吹く。 11月から始まった「高峰秀子特集」は、今月も引き続き開催している。 12月プログラムに、 高峰秀子さんは、昭和30年代以降も、成瀬巳喜男監督や木下惠介監督、夫である松山善三監督などとコンビを組ん…

『パブリッシャーズ・レビュー』第1号

公園の柿の木が冬の陽射しを浴びている。黄赤色の柿の実が枝もたわわに実り鈴なりであった。 大型新刊書店で、『パブリッシャーズ・レビュー』第1号を入手する。創刊号である。 これまで出版梓会が発行してきた『出版ダイジェスト』みすず書房特集版(終刊…

「雲のうえ」

北九州市の情報誌「雲のうえ」15号が届く。表紙が馬の白黒写真で、馬と人のふれあいの一瞬を写し印象的だ。モノクロ写真の表紙が新鮮に感じられる雑誌だ。 特集「ひとりの市民の話。」で、北九州市で働く人11名の紹介記事が興味深い。筆者はつるやももこ…

『桜三月散歩道〜あるマンガ家の自伝』

今年の夏は、山内ジョージ著『トキワ荘最後の住人の記録』(東京書籍)で、七福人プロダクションのことを知る。 七福人プロダクションとは、長谷邦夫、横山孝雄、赤塚不二夫、高井研一郎、よこたとくお、山内ジョージ、登茂子さんの七人の漫画プロダクション…

山茶花に新聞遅き場末かな

7日が、二十四節気のひとつ大雪であった。 大雪を過ぎて、山茶花の花に蜂がいるのを見つける。ハナバチの一種? 「山茶花に新聞遅き場末かな」。正岡子規の明治三十二年の句である。 野崎歓著『谷崎潤一郎と異国の言語』を読んでいる。 読みながら、芥川龍…

皆既月食を観る

夕方、南西の空に金星が明るく輝き、東の空に高く木星が同じように光っている。 今夜は満月で、皆既食の始まる午後11時ごろから皆既食が終わり、部分食の始まるまで眺めた。 皆既月食は、赤味を帯びた月で、オリオン座の近くに見られた。星がくっきり見え…

木下惠介の映画『結婚』

木下惠介監督の映画『結婚』(1947年、松竹、85分、白黒)を映像文化ライブラリーで観る。 観客は30人ほど。 出演は、田中絹代、上原謙、東野英治郎、東山千栄子、井川邦子、小沢栄太郎。 原作は木下惠介。脚色が新藤兼人である。 12月プログラム…

気になる映画論

小林信彦著『気になる日本語』(文藝春秋)所収の「黒澤明は〈なぜ受け入れられた〉か?」というエッセイに興味深い箇所があった。 「羅生門」の栄光とともに、古巣の東宝に帰って手がけたのが「生きる」(一九五二年)と「七人の侍」(一九五四年)である。…

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

11月下旬に小春日和の日々があったが、12月の師走に入って北風ようやく強くなる。 昨夜来の雨が上がった。柿の植えられた広い畑があり、見事な柿にはっとして立ち止まった。 大きな果実が色付いて枝に鈴なりであるのだ。 この時期でも柿はまだ収穫されな…

壬生(みぶ)の花田植

ユネスコが「壬生(みぶ)の花田植(はなだうえ)」と松江市の「佐陀神能(さだしんのう)」を無形文化遺産に登録することを決めた、とニュースで知る。 今年、昨年が生誕百年だった黒澤明の「生誕100年 黒澤明監督特集」があった。 そのうちの一本、『七…

ろんどんと巴里

25日、「高峰秀子特集」の一本、木下惠介監督の映画『二十四の瞳』(1954年、松竹、155分、白黒)を観る。夜の部で、観客は50人ほど。 11月プログラムに、 壺井栄の同名小説の映画化、戦争の時代を背景に、小豆島の小学校に学ぶ12人の子ども…

「今こそ古本が新しい!」

夜、NHKテレビの「クローズアップ現代」で、「想像力が未来を拓(ひら)く」 と題した、「小松左京からのメッセージ」をめぐる番組を興味深く観る。 晩年の小松さんを知る石川喬司さんの話に感慨深いものがあった。 石川さんの悲痛な談話に・・・。 ラジオ深…

映画『新しい家族』

「ロシア・ソビエト映画特集」の一本、イスクラ・バービッチ監督の映画『新しい家族』(1982年、97分、カラー)を観る。 出演は、ピョートル・グレボフ、ヴェーラ・アリホフスカヤ、アレクサンドル・ミハイロフ、イリーナ・イワーノフ。 プログラムか…

道々の菊や紅葉や右左

19日、朝からの雨が午後に止み、晴れ間が見えた。気温が20℃近くまで上がる。 街路樹の紅葉が進み、色鮮やかな葉が散り始めた。 「道々の菊や紅葉や右左」、正岡子規の明治二十六年の句である。前書きは、「王子途中」で、 これは、王子へ行く途中の景色…

絶望名人カフカ

朝、NHKラジオの番組「著者に聞きたい 本のツボ」を聴く。 今週の「本のツボ」は、『絶望名人カフカの人生論』の著者の頭木弘樹氏が出演で、カフカの書き残した言葉をめぐり目からうろこのカフカ論が展開されて面白かった。 《誰よりも落ち込み、誰よりも弱…

映画『想い出の夏休み』

「ロシア・ソビエト映画特集」が映像文化ライブラリーで始まった。 セルゲイ・ソロヴィヨフ監督の映画『想い出の夏休み』(1975年、92分、カラー)を観る。 出演は、ボリス・トカレフ、タチヤーナ・ドルビチ、イリーナ・マルイシェワ、ユーリー・アギ…

イチョウとポール・セローのこと

朝晩は冷え込み、雲ひとつなく遠くの山々が眺められた。 小春日和(こはるびより)で、風もなく、青空を背にしたイチョウの樹の黄色く色付いた葉がまばゆい。 イチョウ科の裸子植物。一科一種。落葉高木で、高さ約三〇メートルに達する。葉は扇形で中央に裂…

江戸川乱歩の小説「モノグラム」を聴く

立冬を過ぎて、気温が高い。22℃まで上がる。イチョウの葉が黄色く成りはじめている。 NHKラジオの「ラジオ文芸館」で、江戸川乱歩の小説「モノグラム」を、「江戸川乱歩全集18」(桃源社)所収から、今道琢也アナウンサーの朗読で聴いた。 今は守衛をし…

成瀬巳喜男監督の映画『稲妻』

「高峰秀子特集」の一本、成瀬巳喜男監督の映画『稲妻』(1952年、大映、87分、白黒)を観る。 出演は高峰秀子、浦辺粂子、三浦光子、村田知英子、小沢栄、植村謙二郎、香川京子、根上淳。 脚本は田中澄江である。 11月プログラムから引用すると、 …

「震災日記より」

NHKラジオ第二で、大正から昭和初期にかけて活躍した寺田寅彦の随筆「震災日記より」を聴く。 「震災日記より」は『天災と国防』(講談社学術文庫)所収で、有川博さんの朗読であった。日記を聞いていると、震災当時の湯島五丁目付近からの眺望風景が目に見…

映画『或る夜の殿様』と脚本

高峰秀子特集に通っている。 高峰秀子は1929年(昭和4年)に5歳で子役として銀幕にデビューし、昭和の日本映画とともに歩みつづけた。 今回の特集は映像文化ライブラリー所蔵作品によって振り返ります、とのこと。 そのうちの一本、衣笠貞之助監督の映…

立冬

8日は二十四節気のひとつ立冬である。 午前四時過ぎ、オリオン座が南中していた。冬のダイヤモンドを形作る星が眺められた。 北東におおぐま座が見られ、北斗七星のひしゃくの柄(え)が縦に伸びている。 ひしゃくの柄は、おおぐまの尻尾(しっぽ)の部分で…