2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

茸狩や頭を挙れば峰の月

秋晴れですがすがしい。日差しが強いが、肌に気持ちよい気温である。夕方、南東の空に月が昇っていた。高度は高くて四〇度くらいである。ちょうど半月になっている。月の右側へ太陽からの光が当たっているのだ。上弦の月が地平線へ没する時刻は午後十一時半…

映画『父親たちの星条旗』と戦費

イチジク畑に実がなっている。あらかた食べ頃の実はもがれて、小さな実が枝に残されているようだ。 『サンデー毎日』で、中野翠の「満月雑記帳」を読んで、是非観たいなあと思っていた。 公開されて二日目の最終上映時間から、スカラ座でクリント・イースト…

根岸派の文人の流れ、岩本素白

散歩の途中、垣根から柿がたわわに実っている。うーん。美味しそうだ。 カキノキ科の落葉高木。また、その実。山地に自生するが、古くから栽培される。よく分枝し、葉は短楕円形で先がとがり、光沢がある。秋に紅葉する。初夏に白い雌花と雄花とが咲き、秋に…

アンリ・ルソー 創作の秘密

晴れて日差しが強い。川を渡っていると一羽のカモメが頭上を飛び越えて行きつつあった。下から眺めると、あっという間に飛び去って行った。速い。 夕方、川岸のセンダンの木のそばから南の空を仰げば、三日月が昇っていた。暮れ行く空の色の変化が素晴らしい…

ムクドリをめぐって雑感

夕方、ある屋根の上にある事情で上がっていた。電線が水平方向に眺められる。 ピチピチ・・・ピチピチピチピチと音が聞こえてきた。音のする方にある電柱と電線に黒い塊があった。鳥が群れて電線に群がっている。ムクドリが集まっているのだ。 これから、ね…

奇想天外の仙人たち〜曾我蕭白

昨夜のNHK教育テレビの「知るを楽しむ」で〈この人この世界―辻惟雄〉は、「ギョッとする江戸の絵画」の第四回であった。今回は「奇想天外の仙人たち〜曾我蕭白」というタイトル。 辻惟雄(つじのぶお)さんが、三重県松阪市の朝田寺へ曾我蕭白の『唐獅子図』…

映画『紙屋悦子の青春』

イチジク畑でイチジクが暗紫色に熟している。今が食べ頃である。 最終上映時間からなので、オハギとヨモギオハギで腹ごしらえをして、黒木和雄監督の映画『紙屋悦子の青春』をサロンシネマ1で観た。観客は15人ほどで、それほど混んではいなかった。 昭和…

ムクゲの花

日の出前、五時頃に外出する。夜空には天の川がまだ見られた。草むらに虫の鳴き声がしている。南西にオリオン座、その下にシリウスが明るく輝いていて、冬の大六角形(ダイヤモンド)と呼ばれる六つの星が眺められた。それも、だんだん薄れてじきに星が見え…

文芸時評の話

公園を通り過ぎる途中、老梅の木のそばのベンチで休む。だんだん暗くなって日が暮れた。ちょっと池の様子を見に行くと、通行止めになっていた。警備員が立っている。迂回して、池へ回ることにした。すると、暗闇の池のそばに巨大なステージが造られていて、…

こぐこぐ自転車

昨夜、NHK教育テレビの「福祉ネットワーク」で「自転車シニア 東北・出会いの旅」という番組を観た。東北縦断の自転車旅行を、七十三歳のエッセイスト伊藤礼さんや六十歳代以上の「自転車シニア」たちが、道中の宿の人や十五歳の自転車旅行者と出会う。そう…

幸田露伴の『幻談』

晴れた空で、汗ばむほどの天気だった。橋を渡っている時に、大きな鳥がつばさを広げて、滑らかに上空を飛んでいる。おお、アオサギだ。 川面(かわも)に竹の篊(ひび)が並んで立てられている。その竹の先にもアオサギがいた。一羽、二羽。数は少ないが、あ…

ギョッとする江戸の絵画〜白隠

夜、NHK教育テレビの「知るを楽しむ」で、〈この人この世界―辻惟雄〉から「ギョッとする江戸の絵画」の第三回、〈「自己流」の迫力〜白隠〉という番組を観た。 辻惟雄(つじのぶお)さんが、白隠の描いた達磨図や自画像を話しているのだが、その見方が面白い…

舞楽を観る

出前自然史博物館という、一日だけの自然史博物館を訪れる。哺乳類、鳥類、植物、鉱物、化石、昆虫の標本が展示されていた。数は少ないが、少ないだけに厳選されている。ツキノワグマ・キツネ・タヌキ・イタチ・テン・コウモリなどの哺乳類。クマタカ・ハヤ…

絵本を旅する

昨日、通りで犬を散歩させている人が立ち話をしていた。通り過ぎる時に、その犬が近寄って来た。白い地に黒いまだらに散った点のある犬である。手を犬へ近づけると鼻を寄せて来る。ポインターに似ているようなので、犬の種類を尋ねると、ダルメシアンだとい…

ベルンのレーニン

公園のバラ園に赤い花が咲いている。プレートを見ると、ドフトボルケ(Duftwolke)という名前のバラだ。大きな花である。 ジャンニ・ロダーリの『猫とともに去りぬ』(光文社古典新訳文庫)から、三篇を読む。ロダーリの年譜を見ると、『チポリーノの冒険』*…

カモメが舞う

川を渡っていると、橋の街路灯の頂上に鳥がとまっている。カモメだ。どの街路灯の上にも白いカモメが鎮座していた。その座席を狙って、別のカモメが突進して行く。追い払われたカモメが、上空に乱舞しているのだった。まるで、椅子(いす)取りゲームでカモ…

身もだえする巨木〜狩野山雪

公園のベンチで飲み物を飲んで休んでいる時、梅の木がそばに植えられているのだった。樹齢六十年は下らないだろう。老梅というほどではない。いや、もう老梅かな。枝がクネクネ曲がっている。その枝のシルエットの形が不思議で面白い。 夜、NHK教育テレビの…

十六夜の雲吹去りぬ秋の風

通りすがりの家の垣根から道へ柿の枝が伸びていて、実が鈴なりになっていた。見事な色艶をしている。イチヂクや柿、栗やブドウなどの収穫の秋を実感する。 夕方、東の空から月が昇って来た。晴れて雲ひとつない夜空である。吹く風が肌に寒いなあ。今日は二十…

裏番組「奇想の系譜」

夕方、東の空に真ん丸い月が昇っていた。ほぼ満月である。月明かりで明るい夜空だ。雲がゆったりと北から南へ移動して行く。時折、月が雲に隠れ、また姿をあらわす。 NHK教育テレビの「知るを楽しむ」という番組で辻惟雄の「ギョッとする江戸絵画」が面白か…

鵯(ひよどり)のこぼし去りぬる実の赤き

川を渡っていると、一羽のアオサギが右から左へ横切って飛んで行く。前方二十メートルの上空を五メートルの高さで、ゆっくり、次第に加速させながら飛び去って行った。浅瀬には仲間のアオサギが、散開して二羽ほど見かけられた。 街路樹のナツメの木のそばを…

ユリイカの対談

街路樹にあるセンダンの木に実がなっていた。鈴なりである。初夏の頃、淡い紫色の花が多数咲いていた。花どきのセンダンの木のまわりには、いい香りが漂っている。秋になると、丸い実をつける。この木の実はまだ緑をしているが、一部が黄色くなっていた。 『…

ギョッとする江戸の絵画

川を渡っていると、水をたたえた緩やかな水面に魚が跳びあがっている。間隔を置いて水中から大気中へ躍り上がっているのだった。まるで、陸上競技の三段跳びの練習をしている選手のようだ。白い運動着のような脇腹を見せて、ぴょ―ん、ぴよーんと跳ね上がって…

座右の銘とビリー・ワイルダー

オダギリジョーが弟、香川照之が兄という兄弟二人の間の心の「ゆれ」を描ききった西川美和監督の映画『ゆれる』をめぐって、面白いコラムを読んだ。 シネツインでもらった『エンドマーク』2006年8月号の、「美妙」(びみょう)という連載コラムで、監督…