2017-01-01から1年間の記事一覧

山本嘉次郎監督の映画『綴方教室』

10月は、監督、脚本、撮影、美術など、スタッフとして日本映画を支えた広島ゆかりの映画人の作品を特集します。(10月プログラムより) 「特集・広島ゆかりの映画人」から山本嘉次郎監督の映画『綴方教室』(1938年、東宝映画、86分、白黒、35ミ…

「広島・キューバ展」

「広島・キューバ展」を「キューバ映画特集」の作品を観た後に訪れた。 チェ・ゲバラが亡くなって今年で50年。遺族の協力のもと、広島で撮影された未公開写真、広島から家族に送った絵葉書を広島で初公開する。 旧日本銀行広島支店で開催中。16日から2…

キューバ映画から

「キューバ映画特集」から四作品を鑑賞する。 フィルムは東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品。 「エル・メガノ」(1955年、キューバ、25分、白黒、35ミリ、日本語字幕)の監督はフリオ・ガルシア・エスピノーサ、トマス・グティエレス・ア…

武田百合子著『あの頃』から

今年の夏の読書に単行本未収録エッセイ集の武田百合子著『あの頃』を読んだ。 『あの頃』に収録されている「無口な人ーー原民喜さんの思い出」は、昭和二十三、四年頃の原民喜について書いている。 《その頃(昭和二十三、四年頃)の私は、神田神保町の酒場…

短編集2

「日本アニメーション100年 アニメーション映画特集」から「短編集2」を鑑賞。 「部屋」1967(昭和42)年、久里実験漫画工房、5分、カラー、35ミリ。演出・久里洋二。 「二匹のサンマ」1968(昭和43)年、久里実験漫画工房、13分、カラ…

今朝九月草樹みづから目覚め居て

9月7日は、二十四節気のひとつ白露であった。白露は秋分の十五日前で、このころから秋らしくなる。夜、虫の鳴き声が聞こえるようになった。リーン、リーン、リーン・・・。 今年の夏は猛暑で残暑も厳しかったが、ようやく朝夕がしのぎやすくなった。 公園…

「風の谷のナウシカ」

「日本アニメーション100年 アニメーション映画特集」からの一本で、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」(1984年、徳間書店、博報堂、116分、カラー、35ミリ)を観る。観客は50人ほど。 声の出演・ナウシカ/島本須美、ジル/辻村真人、大パパ…

「芸術新潮」9月号から

「芸術新潮」9月号が「日本アニメベスト10」を特集しているので手に取ってみた。 小野耕世、椹木野衣、森卓也、おかだえみこ等の各氏のアンケートを読んだ。 小野耕世氏といえば、新刊の『長編マンガの先駆者たち――田河水泡から手塚治虫まで』で、田河水…

「白蛇伝」

今年、2017年は日本で初めてアニメーションが作られてから100年を迎えます。(中略)戦時下に作られた秀作「くもとちゅうりっぷ」「桃太郎 海の神兵」、影絵アニメーションで海外でも高い評価を受けた大藤信郎の「くじら」「幽霊船」、日本初の長編カ…

ポール・ヴェッキアリ監督とディアゴナルのこと

昨年(2016年)11月に「ディアゴナル特集」の上映会が映像文化ライブラリーで開催された。 ディアゴナルという言葉はフランス語で「対角線」を意味する。 1976年に自由な映画作りをめざしてディアゴナルという名前の映画製作会社を設立したポール…

アンテナの竿をのぼりて月涼し

晴れる。最高気温37℃、最低気温28℃。台風の影響か、吹く風が乾いている。街路樹のオリーブの木に実が鈴なりになっていた。 モクセイ科の常緑高木。高さ七〜一八メートル。葉は細長く、表面が暗緑色、裏面が銀色で、対生する。五〜七月ごろ、黄白色の香り…

三越を歩き呆けや花氷

晴れる。最高気温33℃、最低気温26℃。南の風が吹く。湿度が低い。 木陰に入ると暑さを忘れる。 街路樹の夾竹桃(キョウチクトウ)の白い花が満開になっていた。 キョウチクトウ科の常緑低木。株立ちとなり、葉は竹に似て、三枚が輪生。乳液に毒がある。夏…

ルパート・ジュリアン監督の映画「オペラの怪人」

毎年夏に活動弁士・佐々木亜希子さんを迎えて映像文化ライブラリーで開催されている「夏休み活弁シアター」へ出かけた。 ルパート・ジュリアン監督の映画「オペラの怪人」(1925年、アメリカ、75分、白黒、無声)を佐々木亜希子さんの活弁とピアノ、エ…

「町を歩いて本のなかへ」から2

南陀楼綾繁著『町を歩いて本のなかへ』の第3部「早稲田で読む」の「先生とわたし」後篇にこういう一節があり、ちょっと驚いた。 先日、ブログ「退屈男と本と街」で、「近代日本の民間学』を探しているという記述があった。ぼくより一〇歳以上若い退屈男くん…

「敗者の想像力」を読む

加藤典洋の『敗者の想像力』を読む。 この本を「青春と読書」6月号でのマイケル・エメリックの書評で知る。 「図書」に連載中の「大きな字で書くこと」に加藤典洋は7月号からは父親の戦前の過去をめぐり書いている。これにはちょっとおどろいた。 敗者の想…

田中克彦氏の「ノモンハン戦争」を聴く

朝のNHKの番組の「カルチャーラジオ」で田中克彦氏の講演を聴いた。 今月の9日から始まった連続講演で、今回は「ノモンハン戦争」と題して田中克彦氏がロシア側に残されている資料と日本側の作成したノモンハンの地図から分かってくる日本軍の作戦をめぐる…

対談「星条旗と青春」を読む4

小林信彦と片岡義男の対談「星条旗と青春」を読む。 小林泰彦のイラストルポ、植草甚一のニューヨーク行き、「全地球カタログ」についての三つを対談で語っている。その箇所を一部引用すると、 小林 「平凡パンチ」で、ぼくの弟が<イラストルポ>というのを…

「町を歩いて本のなかへ」から

公園の池を訪れた。昆虫が盛んに動き回る季節である。 池の周辺は旅行者も盛んに歩き回っていた。 静かな水面からスイレンの花、伸びた茎の先に大きな葉っぱのハスが眺められる。 チョウトンボがあちこちとハスの葉に止まっていた。 光沢のある黒い翅(はね…

ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下

16階建ての高層ビルの屋上が緑地化されていた。 美味しそうな桃が鈴なりだった。夏の日差しが強い。 バラ科の落葉小高木。葉は細長くて先がとがり、縁に細かいぎざぎざがある。四月ごろ葉より早く、淡紅色のほか白や濃紅色の5弁花を開く。夏に球形の肉厚多…

鼈(すっぽん)をくびきる夏のうす刃かな

梅雨の中休みで曇ったり晴れたりで蒸し暑い。最高気温33℃、最低気温26℃。 ベニシジミが花にとまり蜜を吸っているのを見つけた。 昆虫が活発に活動している季節になった。 「大樹相夏くもりなき日を迎ふ」 「鼈(すっぽん)をくびきる夏のうす刃かな」 「…

「オペラ座の怪人」

「オペラ座の怪人」の映画チラシを入手。 The Phantom of The Opera。 ルパート・ジュリアン監督の1925年の無声映画。上映時間1時間15分。作品提供、松田映画社。 出演、ロン・チェイニー、メアリー・フィルビン、ノーマン・ケリー。 19世紀末、パ…

やまもも

21日、NHKラジオの「ミュージック・イン・ブック」を聴きました。ゲストが長嶋有さんで、文学談話とゲストのリクエストした音楽が放送された。聞き手は松浦寿輝さん。 29日、夜、雷が伴って雨が降り始めた。梅雨が本格化してきた。 夏至のころから山桃(…

芝居小屋客ふゆる扉の開く涼し

曇り、最高気温28℃、最低気温21℃。風がゆるく吹く。 街路樹に合歓(ネム)の花が満開になっていた。 花は風に吹かれてゆらゆらと動く。 「芝居小屋客ふゆる扉の開く涼し」 「客席の暗きに風の扇黒」 「踊り子の二たび三たび梅雨窓に」 中村汀女の俳句で…

世界の8大文学賞

「世界の8大文学賞」を読む。 副題が、「受賞作から読み解く現代小説の今」。 『きっとあなたは、あの本が好き。』、『読んで、訳して、語り合う。』と同じく立東舎からの本である。 ノーベル文学賞を、都甲幸治、中村和恵、宮下遼。 芥川賞を、都甲幸治、…

かしわ餅の葉について

柏(かしわ)の葉っぱが街路樹に見られた。 説明板があり、「ドングリがなる木、葉は、柏餅を包むのに使われる。枯れた葉は、翌年まで残る。」 実はドングリになり、葉は秋に落葉せず越年するようだ。 若葉はかしわ餅(もち)に用いられるというのだが、家庭…

蜥蜴出て遊ぶを見れば常の如し

雨が降らない梅雨入りであるが、アジサイの花が色づいて来ている。ちょうど花が見ごろの時期になりました。 ガクアジサイから日本で改良された園芸品種。高さ一〜一・五メートルの落葉低木。葉は大きな楕円形。初夏、淡青色から淡紫紅色に変わる萼(がく)の…

船影がつつじの上にふとくなる

ツツジの花がひっそり咲いていた。 「船影がつつじの上にふとくなる」 「一株のつつじ隠れの船もあり」 「夏の蝶池の面に死ぬ水輪かな」 中村汀女の俳句で、昭和八年(1933年)の句です。 前書きは、「野毛山初夏 三句」とある。 昭和七年夏より中村汀女…

新聞書評欄から

11日の日曜日の新聞各紙の書評欄で、気になった本を紹介していたのは飛び抜けて毎日新聞でした。 高橋順子著「夫・車谷長吉」、松浦寿輝・選「この3冊」(カズオ・イシグロ著「わたしたちが孤児だったころ」、J・G・バラード著「太陽の帝国」、桐野夏生著…