いい絵だな

伊野孝行・南伸坊著「いい絵だな」を読んだ。 西洋絵画の技法の秘密をめぐる興味深い対談であった。 デイヴィッド・ホックニーの「秘密の知識」という本で、ホックニーが解明してるという。もう一冊は、デイヴィッド・ホックニーの「はじめての絵画の歴史」…

林達夫のドラマトゥルギー

曇りのち晴れる。最高気温33℃。最低気温24℃。 涼しさを求めて、書店に寄った。 平台に、「林達夫のドラマトゥルギー」という出たばかりの新刊本を見つける。 手に取ってみた。 平凡社からの新刊です。 著者は鷲巣力氏。 落合勝人著「林達夫 編集の精神」…

映画「眠るパリ」

「サウンド・アンド・サイレント」映像と音楽の共演。 フランスの古典作品を、鑑賞する。 フランスから伝わったシターという楽器、シター奏者は白井朝香さん。 「リュミエールの実写集」1895~1896年、10分。 ジョルジュ・メリエス監督「月世界旅…

映画「ユーリメンバーミー」

「ケベック映画特集」で、映画「ユーリメンバーミー」を観る。 監督が、エリック・テシエ。 2019年、カナダ、107分、カラー、Blu-ray、日本語字幕。 主人公のエドワードは歴史教師を引退したが、記憶をしだいに失いはじめている。周りに世話をしてく…

映画「ロイドの一番槍」

ピアノの演奏付きで無声映画を鑑賞する。 1927年の映画「ロイドの一番槍」である。 アメリカ映画で、上映時間84分。Blu-ray、日本語字幕。 作品提供:マツダ映画社。 ピアノの演奏が吉清彩香さん。 西部の田舎町の保安官一家の三人の息子のうち、弱虫…

映画「花の奇蹟」

映像と音楽の共演、「サウンド・アンド・サイレント」の上映会で、サイレント映画伴奏者・柳下美恵さんのピアノによる映画を観る。 ルネ・ルプランス監督の映画「花の奇蹟 Miracle des fleurs」(1912年、13分、彩色版、サイレント、35ミリ、日本語…

鶴見俊輔 混沌の哲学

岩波書店のPR誌「図書」8月号を書店で頂く。 今月号の巻頭の「読む人・書く人・作る人」で、「私の伯父さん」(高草木光一)を読んだ。 新刊の『鶴見俊輔 混沌の哲学――アカデミズムを超えて』という本の著者である。「私の伯父さん」で筆者は、母方の伯父に…

映画「ロイドの巨人征服」

活弁シアターで、映画「ロイドの巨人征服」(1923年、アメリカ、56分、白黒、Blu-ray、無声)を観る。 監督、フレッド・ニューメイヤー、サム・テイラー。 出演、ハロルド・ロイド、ジョビナ・ラルストン、ジョン・アーサン。 活動弁士の佐々木亜希子…

小冊子から

書店にて、『理』(コトワリ)No.67を頂く。〈非売品、ご自由にお持ちください〉という文面が16ページのスタッフ通信の下に書かれている小冊子である。 リレーエッセイが三篇あり、そのひとつ「京の六条」(前川裕)と「連載 世界から」(海老坂武)を読…

「僕は珈琲」

新刊のエッセイ集、片岡義男著『僕は珈琲』を読む。 本文267ページの内、125ページから148ページが、短編小説「謎なら解いてみて」である。 印象に残るエッセイのひとつに、「わしゃあカタオカじゃ」があった。 戦時中、一般人の長距離の移動、旅行…

対談:ぼくらの個人史2

小林信彦と片岡義男の対談集「星条旗と青春と」(副題が、「対談:ぼくらの個人史」)を読む。 目次 はじめに 小林信彦 一九四〇年代 大いなる幻影 一九五〇年代 蜜月の終り 一九六〇年代 根こそぎの十年 一九七〇年代 昨日を超えて おわりに 片岡義男 戦後…

対談:ぼくらの個人史

梅雨の中休み、街路樹のヤマモモ(山桃)に、実が鈴なりで色付いてきた。 ヤマモモ科の常緑樹で、葉が長楕円形をしている。 小林信彦と片岡義男の対談集、『星条旗と青春と』を読む。 副題が、「対談:ぼくらの個人史」。 カバーそでに、 「アメリカが日本に…

汽車旅放浪記から

五月に公開された映画『銀河鉄道の父』を観た。監督は成島出。門井慶喜の小説『銀河鉄道の父』が原作の映画化作品である。 父を役所広司、賢治を菅田将暉、賢治の妹トシを森七菜、母を坂井真紀、弟の清六を豊田裕大、そして祖父を田中泯が演じている。 冒頭…

映画「ロシュフォールの恋人たち」

1月から3月にかけて月に一回、開催された「土曜日の映画館」は、 1月、トッド・ヘインズ監督の「キャロル」(2015年) 2月、ヤスミン・アフマド監督の「タレンタイム~優しい歌」(2009年) 3月、ジャック・ドゥミ監督の「ロシュフォールの恋人…

片隅に菖蒲花咲く門田かな

晴れた。最高気温24℃、最低気温11℃。湿度が低い。 菖蒲(アヤメ)の花が満開で、見頃になっていた。 アヤメ科アヤメ属の多年草。日当たりのよい乾燥した草地に生える。高さ三〇~六〇センチ。葉は細長く剣状。初夏、花茎の先に、付け根に網目模様のある…

映画「生きる LIVING」

オリヴァー・ハーマナス監督の映画「生きる LIVING」を観に出かける。 主演の俳優が、ビル・ナイである。 ウィリアム・ニコルソン監督の映画「幸せの答え合わせ」でのアネット・ベニングとビル・ナイの夫婦役の演技が強く印象に残っている。 映画「生きる LI…

映画の記憶2

「特集 佐藤忠男のベスト・ワン」の一本、鈴木清順監督の映画「陽炎座」(1981年、シネマ・プラセット、140分、カラー、35ミリ)を観る。 出演、松田優作、大楠道代、加賀まりこ、楠田枝里子、原田芳雄、中村嘉葎雄。 《時代が大正から昭和へ移り変…

映画の記憶

「特集 佐藤忠男のベスト・ワン」の一本、鈴木清順監督の映画「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)を観た。 出演は原田芳雄、大谷直子、大楠道代、藤田敏八。 この年に公開された映画なのだったが、劇場ではなくて、パルコの前身のようなファッションビル…

「にがいコオフィ」

筑摩書房のPR誌「ちくま」2023年3月号を書店で頂く。 表紙と表紙裏の「ともだちのともだち」がヒグチユウコの連載である。 「些事にこだわり」(蓮實重彦)、「世の中ラボ」(斎藤美奈子)の連載がある。 「些事にこだわり」は大江健三郎の「にがいコ…

ゴダール特集号から

「ユリイカ」2023年1月臨時増刊号「総特集=ジャン=リュック・ゴダール」からの話題になるのだが、掲載されているひとつから「ゴダール回顧的断章」(中条省平)を読んだ。 気になった箇所から引用すると、 《ゴダールは、映画という表象の詐術そのも…

松籟の下紅梅は軒の花

快晴。最低気温が2℃で、最高気温は16℃。 気象台から春一番の発表があった。 梅の花が見頃を迎えているとのことで梅の名所を訪れた。満開の花びらに近づくと梅の好い香りが漂ってきた。園内はそぞろ歩きの人で行き交う光景が見られる。バラ科の落葉高木。 …

読書アンケート

みすず書房のPR誌「みすず」1・2月合併号の読書アンケートを手に取ってみた。 2023年8月号をもって休刊の予定とみすず書房からのお知らせがあった。 どんな本がアンケートにあるか眺めてみた。 山田稔氏の奈良有里『夕暮れに夜明けの歌をーー文学を探…

ラジオ千夜一話から

NHKラジオ深夜便に、「五木寛之のラジオ千夜一話」という放送番組があります。これまで多く対談をされている五木さんが、特別に印象に残っている対談が羽仁五郎さんとであったと話されていました。 そういえば、五木寛之の『箱舟の去ったあと』という対談…

映画「恋するアナイス」

フランス映画の現在 vol.04ジャン=マルク・ラランヌが選ぶ2020/2022ベストの一本。 ジャン=マルク・ラランヌによるセレクション(「レザンロキュプティーブル」編集長)企画協力・ジャン=マルク・ラランヌJean-Marc Lalanne。 シャルリーヌ・ブ…

マリノス・カルティキス監督の映画「老人」

8月に「EUフィルムデーズ2022映画でつながる、ヨーロッパ」映画祭で上映された一本。 マリノス・カルティキス監督の映画「老人」(2020年、キプロス、ギリシャ、84分、カラー、Blu-ray、ギリシャ語、日本語字幕)を鑑賞。 老いと孤独をテーマにし…

「夕子ちゃんの近道」

中央公論新社から出ていた文芸誌に「アンデル」という名前の小冊子があったのをご記憶の方は今もいるだろうか。創刊は2015年1月号からである。創刊号からはじまった連載小説に、長嶋有の「三の隣は五号室」というタイトルの小説があって、毎回愉しみに…

映画「ツユクサ」

今年観た映画を振り返ると、平山秀幸監督の映画「ツユクサ」があった。主演は小林聡美。小林聡美といえば、フィンランドのヘルシンキを舞台にした荻上直子監督の映画「かもめ食堂」が思い出されるのだが、映画「ツユクサ」も印象深い作品だった。 映画『ツユ…

新刊のエッセイ

八朔(はっさく)の実る季節になった。青空を背にして果実の黄色い色が鮮やかだ。ミカン科ミカン属の常緑広葉樹。近くに寄って眺めると、葉に艶(つや)がある。 八朔は甘味と酸味にほのかな苦みのバランスがよい。爽やかな香りもよい。 ミカンの一品種。果…

映画「ミセス・ハリス、パリへ行く」

アンソニー・ファビアン監督の映画「ミセス・ハリス、パリへ行く」(2022年、116分、イギリス)を観る。 ポール・ギャリコの小説「ミセス・ハリス、パリへ行く」が映画の原作。 舞台は、ロンドンとパリ。時代は第二次世界大戦の終わった1950年代…

新刊から

新刊で、『鶴見俊輔、詩を語る』に注目。詩人の谷川俊太郎と元教え子の詩人正津勉とによるインタビュー、詩をめぐる話題だけでなく内外の同時代人の人物評の証言も興味深い。 鶴見さんの詩も一読を! 《出鱈目の鱈目の鱈を干しておいて 夜ごと夜ごとに ひと…