帰らなんいざ草の庵は春の風

渡り鳥のツバメがやって来た。快晴で、ソメイヨシノの花が見られるようになった。最高気温17℃、乾燥した風が吹く。 「帰らなんいざ草の庵は春の風」(芥川龍之介) 大正八年(1919年)の句で、前書きに、「教師をやめる」とあります。 書店でもらう『…

映画をめぐる対談

『望星』4月号の関川夏央・平川克美の対談「映画について私たちが語ること」と題した談話を興味深く読む。蔵原惟繕(これよし)監督の映画『憎いあンちくしょう』(1962年、日活)の石原裕次郎、浅丘ルリ子、芦川いづみをめぐり熱く語っていた。映画『…

本の広告から

タブロイド判出版情報紙(無料)パブリシャーズ・レビューが届いた。「みすず書房の本棚」である。一面の下に国書刊行会の本の広告があり、ケヴィン・ブラウンロウ著『サイレント映画の黄金時代』という本についての紹介文。《スターやスタッフへのインタビ…

「本よみうり堂」から

読売新聞の書評欄に毎週、「本よみうり堂」がある。3月8日の「現代×文芸 名著60」に、島田雅彦著『君が異端だった頃』を文芸評論家の佐藤康智氏が紹介している。佐藤氏は、《私は数年前、作者の年譜を作る仕事をした。(中略)図書館で資料を漁(あさ)…

アリ・スミス著『秋』

サンシュユ(山茱萸)の花が咲いている。黄色の小さな花が密集して房のようになっている。枝に若葉はまだ出ていない。遠くから眺めると、明るい黄色に包まれて鮮やかだ。 ミズキ科の落葉小高木。葉は楕円形。樹皮ははげやすい。早春、葉より先に黄色の小花を…

犬が渡り椿がくぐり橋の昼

紅色のヤブツバキの花が咲いていた。葉の縁(ふち)に小さなギザギザがある。葉に光沢がある常緑樹。 「流れゆく椿は曲り失せにけり」 「犬が渡り椿がくぐり橋の昼」 「籠り飛ぶ小鳥あるらし大椿」 松本たかしの昭和十二年(1937年)の俳句です。 最近、…

雑誌から

先月、「サンデー毎日」1月26日号に、坪内祐三さんの連載「テレビもあるでよ」を見たときに、「今週の新刊」(岡崎武志)で、筆者の岡崎さんが高崎俊夫・朝倉史明編『芦川いづみ』という本を紹介していました。その岡崎武志さんの紹介文に注目しました。 …

読書アンケートから

ハクモクレンのつぼみが膨らみはじめてきた。白いつぼみは空の方へ向いている。 先日、みすず書房のPR誌「みすず」1・2月合併号の「二〇一九年読書アンケート」を見て、読んだことのある本を誰か言及していないか、と探したところ、杉田英明氏が若菜晃子著…

対談・映画について私たちが語ること

『望星』3月号に、平川克美と川本三郎の「映画について私たちが語ること」という対談が掲載されていました。新藤兼人の映画『銀心中』(しろがねしんじゅう)に出てくる花巻電鉄の電車のことや川島雄三監督の映画『銀座二十四帖』で昭和30年(1955年…

花一本あり人これを四方より

カワヅザクラ(河津桜)が満開になった。早咲きのサクラ。風に吹かれて花びらがゆれている。小鳥が枝から枝へと動き回っている。黄緑色の羽(はね)で目の周りが白い小鳥。メジロ(目白)だった。一本の桜の木に、メジロがいて、人々がカメラを向けている。 …

あなづりし道に迷ひぬ探梅行

晴れた青空に遅咲きの白梅が咲いていた。今が満開で、とても良い香りがする。 「枯木中行きぬけたりし雲一つ」 「あなづりし道に迷ひぬ探梅行」 松本たかしの昭和十年(1935年)の俳句です。

PR誌から

白水社のタブロイド版のPR誌『パブリッシャーズ・レビュー 白水社の本棚』2020年冬号の一面の「愛書狂」が、伊藤整の『日本文壇史』(講談社文芸文庫)は読み始めると止められない、といって、若山牧水の恋をめぐって書いている。「愛書狂」の筆者は俵万…

小冊子から2

先月、図書館で「久我山通信」No.22を入手しました。「佐々木基一研究」のサブタイトルのある小冊子です。目次が、「評伝 佐々木基一 (五)」(杉田達雄)、「わが道しるべーー久保覚」(桑野隆)、「長谷川四郎、小沢信男、そして佐々木基一」(渡辺喜一…

小冊子から

時代を鋭く突くサイの角今も昔も気になる本に犀のマーク 晶文社 創業記念60周年記念フェア 先日、書店のブックフェアで、上記のようなパネルを掲げた晶文社のブックフェア本が展示されていました。「晶文社60周年記念冊子」が置いてあり、無料配布の小冊…

山浅く大瀧かかる梅花村

晴れて暖かい日がつづく。梅の花が満開になった。近寄ると花から良い香りがする。 松本たかしの昭和十七年(1942年)の俳句に、 「紅梅の残りし花に一茶亭」 前書きは、「六義園」とある。 「山浅く大瀧かかる梅花村」 「瀧川の流れ出てすぐ梅花村」 前…

長閑さにまだゐる鴨や浦戸湾

渡り鳥のヒドリガモを見かける。小さな群れで水面を滑るように移動していた。 カモ科の鳥。全長四八センチくらい。雄は頭部が赤茶色で額が黄白色、胸がぶどう色、背と側面が灰色。雌は全体に褐色。ユーラシア北部で繁殖。日本では冬鳥で、港湾・湖沼でみられ…

「映画をこまかく楽しむために」

週刊文春の1月30日号の小林信彦の「本音を申せば」第1046回、「映画をこまかく楽しむために」と題して、「椿三十郎」について書いているのだが、入江たか子について記している箇所があった。 《てっとり早くいえば、「椿三十郎」はお家騒動ものである…

サザンカ(山茶花)が満開

サザンカ(山茶花)が満開を迎えて散り始めている。 『群像』2月号のアンケート特集シネマ2019に、坪内祐三さんが回答していた。 1月の坪内祐三さんの突然の訃報に驚いた。 このアンケートに坪内祐三さんは、田中小実昌の小説を原作とした映画で、神代…

寒梅に蒔絵師の根(こん)つづくかな

晴れて暖かい。最高気温12℃。まだつぼみが多いのだが、紅梅や白梅が咲きはじめていて、花からの良い香りが漂って来る。 「寒梅に蒔絵師の根(こん)つづくかな」 「梅寒し研げば現る金蒔絵」 松本たかしの昭和十九年(1944年)の俳句で、「上村占魚に…

PR誌の本の広告から

出版社のPR誌の「一冊の本」2月号に、池澤夏樹の新刊の広告が掲載されていた。 『いつだって読むのは目の前の一冊なのだ』という本の広告である。 読書人必携の書評集成という。 《辣腕の書評家にして口達者な本のセールスマンが広大な読書の世界へ分け入り…

くぐり入り梅の枝垂の中に在り

梅が咲きはじめた。近くへ寄り眺めると花の香りがほのかに漂っている。良い香りだ。 梅の花へカメラを向ける人々の姿が花越しに見え隠れする。 「紅梅の下紅梅の鉢を置く」 「歩みよりくぐり入りけり枝垂梅」 「くぐり入り梅の枝垂の中に在り」 松本たかしの…

水仙や古鏡の如く花をかかぐ

暖冬がつづいている。水仙(スイセン)の花が見頃を迎えています。 ヒガンバナ科の多年草。早春に、鱗茎(りんけい) から一本の花茎を出し、白や黄色で中央に副花冠をもつ花を横向きにつける。葉は根生し、平たい線形。耐寒性で栽培に適し、観賞用とする。…

回顧の人、山田稔の原点

青空を背にしてハクモクレン(白木蓮)のつぼみが膨らんでいる。 先日、図書館で図書新聞を見た。1月11日号(3430号)である。 「トークイベント 山田稔著『門司の幼少時代』(ぽかん編集室)をめぐって」というタイトルで一面から三面まで掲載されて…

シャンパン

昨年の新刊で、池内紀著『ことば事始め』(亜紀書房)を年末から正月にかけて読んでいました。編集グループSUREの『海老坂武のかんたんフランス料理』でフランス料理や草野球チームの話が興味深かった。サルトルの『家の馬鹿息子』の翻訳裏話なども。フロー…

特集「南蛮阿房列車」から

大晦日の31日から年を越し、正月の3日まで四夜連続で、NHKのラジオ番組がありました。関口知宏の朗読で阿川弘之の鉄道紀行文を聴く。 特集「南蛮阿房列車」<全4回> 31日、「欧州畸人特急」、「マダガスカル阿房列車」。 1日、「元祖スコットランド…

生誕110年 町田康と読む太宰治

2日、午後のNHKラジオの番組で「文化講演会・セレクション」を聴いておりました。昨年の10月20日に放送された講演の再放送になります。 作家の町田康の語る太宰治を読み解く講演でした。太宰治の作品を読み解く町田康の文学談義を面白く聴きました。 参…

大幅の楷書に浮ぶ寒牡丹

ボタン(牡丹)の花が満開で見頃を迎えています。寒牡丹は白、赤、ピンク色の大輪の花で華やかです。 新年、明けましておめでとうございます。 「初富士の抱擁したる小漁村」 「ややねびし人の春著(はるぎ)の濃紫」 「大幅の楷書に浮ぶ寒牡丹」 松本たかし…

玉の如き小春日和を授かりし

サザンカ(山茶花)が冬の日ざしを浴びていました。サザンカの葉の特徴は、縁(ふち)にギザギザがあり、ツバキの葉とはその点が違いますね。 「玉の如き小春日和を授かりし」「歳時記に聞きて冬至のはかりごと」「かへりみる吾が俳諧や年の暮」 松本たかし…

塔の上の鐘動き鳴るクリスマス

冬咲きの牡丹(ボタン)が開花している。黄色、白、赤、ピンクの八重咲きで、豪華な大輪の花は見ごたえがあります。 ボタン科の落葉低木。高さ一~二メートル。葉は大きく、羽状複葉で、互生する。五月ごろ、白・紅・紫・黄色などの大形の花が咲く。花びらは…

「大林宣彦監督セレクション」から

11月に開催された広島国際映画祭2019で、「大林宣彦監督セレクション」と題して四作品が上映された。 『野のなななのか』(2014年)、『異人たちとの夏』(1988年)、『野ゆき山ゆき海べゆき』(1986年)、『あした』(1995年)。 『…