フレデリック・ワイズマン監督の映画『ボストン市庁舎』

一週間限定上映中のフレデリック・ワイズマン監督の映画『ボストン市庁舎』(2020年、アメリカ、274分、カラー)を観に出かけた。ワイズマン監督の新作はマサチューセッツ州のボストン市庁舎が今回の舞台である。映画館で入手したチラシによると、マ…

能もなき渋柿どもや門の内

先日、道端の街路樹に柿の木があった。柿の色が青空に映えている。葉は落ち、実は枝に鈴なりであった。近くに寄り、下から見上げる。一番の低い位置にある実は手が届かない高さにあった。 「能もなき渋柿どもや門の内」 夏目漱石の俳句で、明治31年(18…

ボルヘスの『記憶の図書館』

「ちくま」12月号で、国書刊行会の新刊広告を見た。 ボルヘス対話集成『記憶の図書館』である。垂野創一郎訳。 《ポー、カフカ、幻想文学、推理小説、日本、仏教、映画ーー20世紀文学を代表する巨匠が縦横自在に語った深遠で博大な118の対話。》 J・…

今年の3冊から

読売新聞の読書面に、「2021年の3冊」が掲載されていた。栩木伸明氏が、黒川創著『旅する少年』(春陽堂書店)を挙げていた。 編集グループSUREの『海老坂武のかんたんフランス料理』で、海老坂武さんと黒川創さんの対話が興味深かった。『旅する少年』…

「言葉の人生」

年末になると一年を振り返って新聞の書評欄に今年の本から「この3冊」といったアンケート特集がある。 18日の毎日新聞の「この3冊」を手に取ってみた。中島京子氏・選に橋本治著『人工島戦記』という本があって値段をみて驚いた。 堀江敏幸氏・選の「こ…

新刊案内から

書店にて出版社のPR誌を頂きました。「ちくま」12月号です。〈重箱のすみから 13〉(金井美恵子)と〈世の中ラボ〉(斎藤美奈子)の二人の連載が続いています。 筑摩書房の新刊案内にあるのですが、ちくまQブックスというシリーズ本が出ています。今月号…

雑誌「ユリイカ」、フレデリック・ワイズマン特集

雑誌「ユリイカ」2021年12月号を手に取って見た。特集・フレデリック・ワイズマンである。 昨年の5月に、アメリカの高級百貨店のニーマン=マーカスが経営破綻をしたというコロナ禍の中でのニュースがあった。 フレデリック・ワイズマン監督の映画『…

鴨啼くや上野は闇に横はる

先日、川にヒドリガモの群れがいました。渡り鳥です。群れはゆるやかに流れる川を静かに滑るように動いています。群れが大きく広がり、また集まってきて小さくなり、絶えず一時も止むことがなく動いていました。 「鴨啼くや上野は闇に横はる」 正岡子規の俳…

山茶花に新聞遅き場末かな

晩秋から初冬の頃に咲きはじめる山茶花(さざんか)の花が満開になっていた。近くに寄り、白い花弁を眺める。ツバキ科の常緑樹で葉が艶々としている。 「山茶花に新聞遅き場末かな」 正岡子規の俳句です。

クロガネモチと新刊

夕方、東の空に月食を観た。月の表面がやや赤みを帯びている。 街路樹のクロガネモチの木が赤い実をつけていた。鈴なりである。 モチノキ科の常緑高木。雌雄異株で、五月ごろ、淡紫色の小花を群生し、実は熟すと赤い。名は枝や葉が黒みがかってつやがあるこ…

『ジャック・リヴェット 夜警』

映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.3、マルコス・ウザル(カイエ・デュ・シネマ)によるセレクションからの一本、『ジャック・リヴェット 夜警』(1990年)を観る。クレール・ドゥ二、セルジュ・ダネーが監督。ビデオ映像から変換したもの。 《ジャッ…

オリーブの実が色づく

街路樹のオリーブの木に色づいた果実を見つけた。オリーブの実がやや赤みを帯びる時期を迎えている。完熟すると黒紫になります。 「ちくま」10月号の新刊案内の嵐山光三郎著『「世間」心得帖』に注目。文庫オリジナルとある。 夏の読書で、嵐山光三郎著『…

映画『男子ダブルス』

ジャン=フランソワ・ステヴナン特集 :逃走の悦楽 映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.3からの一本で、ジャン=フランソワ・ステヴナン監督の映画『男子ダブルス』(1986年、フランス、90分、カラー、Blu-ray、日本語字幕)を鑑賞。原題:Double M…

「著者からの手紙」

朝、NHKラジオの番組「著者からの手紙」が放送された。『ウィトゲンシュタイン、最初の一歩』の著者・中村昇さんがゲスト出演され、ウィトゲンシュタインの哲学をなぜ研究するようになったか、その経緯(いきさつ)を語られた。ウィトゲンシュタインによると…

無花果にゐて蛇の舌みえがたし

秋晴れで、最高気温30℃。 やや小ぶりの大きさであるが、街路樹のイチジク(無花果)の実が熟して食べ頃になった。 「無花果にゐて蛇の舌みえがたし」 飯田蛇笏の昭和十三年(1938年)の俳句です。 集英社のPR誌「青春と読書」6月号に、『世界の凋落を…

『ビートルズ革命』のこと

緑色の細長いカラダの昆虫が地面にいた。指で捕まえようと近寄ると、ぴよんと跳ねて前へ進み取り逃がした。後で調べるとショウリョウバッタだった。 バッタ科の昆虫。体は細長く、頭部は長三角形に突き出し、前翅(まえばね)の先がとがる。雌は体長約八セン…

鴨長明ハイカラ説

朝晩は過ごしやすくなったが、昼間はまだまだ暑い。最高気温30℃。 日を浴び、鮮やかな色の百日草が、咲きつづけている。暑さに強く初夏から晩秋まで長く咲く花です。丈夫で乾燥にも強い。茎が直立して背が高くなり、育てやすい花ですね。花はつぎつぎと百…

どんぐりと対話集

街路樹にドングリ(団栗)が実っている。 粗樫(アラカシ)で、まだ若いドングリである。幹の周囲に一部の実が落ちていた。 ブナ科の常緑高木。本州中部以南の山地に自生。樹皮は緑がかった灰色。葉は堅く、楕円形で先半分の縁にぎざぎざがある。春、尾状の…

映画『いぬ』のベルモンド

彼岸花(ヒガンバナ)が道端に見られる季節になりました。 赤い花の鮮やかさが、周囲に広がる緑色のヨモギを背景にしてひときわ目立ちます。 ヒガンバナ科の多年草。土手や田の畦に生える。秋の彼岸のころ、高さ約三〇センチの花茎を伸ばし、長い雄しべ・雌…

「波」8月号から

秋に熟す果実で、ザクロ(柘榴)が実っていた。触ると硬いですね。直径、八センチ位のボール状の果実で、果皮はまだ割れていない。熟すと割れて中の果肉が見えるようになります。 「波」8月号の特別エッセイ「ミニシアター巡礼が私を作った」(太田和彦)を…

いちじくをもぐ手を伝ふ雨雫

曇り空で気温が高い日々がつづく、最高気温32℃。 イチジクが大きくなっていたので、近くに寄って観察した。 手で触ると、イチジクはまだ硬くて食べごろではなさそうだった。 食べごろに色づくには、もう少し日にちがいるだろう。 ところで、昆虫少年をして…

『血と霊』の映画化

クルミの実が茶色に色づいてきた。 「図書」8月号の連載「大泉黒石」12(四方田犬彦)で、今月号のタイトルは、「『血と霊』の映画化」。 大正十二年(1923年)に大泉黒石が書き上げた『血と霊』という一二〇枚ほどの短編を原作に日活向島撮影所で撮…

折りとりて花みだれあふ野萩かな

長くつづいていた雨が止み、ヤマハギが咲きはじめていました。 マメ科の落葉低木。山野に自生し、枝はあまり垂れない。葉は3枚の楕円形の小葉からなる複葉。秋、紅紫色の蝶形の花が咲く。庭木にする。 『大辞泉』 秋の七草とは、ハギ(萩)、オバナ(尾花)…

夏の夜のラジオ番組

NHKラジオの番組で「高橋源一郎と読む“戦争の向こう側”2021」を聴く。 《「戦場に行った作家たち」をテーマに、林芙美子・古山高麗雄の作品から「戦争とは何か」を考える。【司会進行】作家・高橋源一郎、詩人・伊藤比呂美【ゲスト】女優・鈴木杏》 前半…

映画『幸せの答え合わせ』

イギリス南部の海辺の町シーフォードを舞台にした、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしている熟年夫婦の離婚を描いた映画。夫のエドワード(ビル・ナイ)は高校で歴史を教えている教師。妻のグレース(アネット・ベニング)は退職して詩集を編んでいる。一…

胡桃落つ日の夜となれば月明かく

青空を背にしてクルミが実っていました。鈴なりのクルミの実はまだ緑色をしています。 オニグルミの果実。また、クルミ科クルミ属の落葉高木のオニグルミ・テウチグルミなどの総称。果実は丸く、肉質の外果皮と堅い内果皮に包まれた子葉部分を食用にする。 …

昼中の堂静かなり蓮の花

朝早くからアブラゼミが鳴きはじめました。最高気温34℃。 蓮の花が、風に吹かれ、ゆれています。 「昼中の堂静かなり蓮の花」 正岡子規の俳句です。明治二十七年(1894年)の句で、前書きがあり、「不忍池」とあります。

輸送船が出た港

今月の新刊で堀川惠子著『暁の宇品』を読んだ。 陸軍船舶司令部、暁(あかつき)部隊の跡地と旧陸軍桟橋を訪れた。船舶司令部跡は公園になっています。陸軍桟橋の跡地は埋め立てられて宇品波止場公園となり、陸軍桟橋の一部が保存されていました。 古山高麗…

映画『吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響曲』

《ドイツ表現主義の巨匠、F・W・ムルナウによる吸血鬼映画の原点。怪奇映画の古典を、ライブ・エンターテイメント「活弁」でご体験ください。》(パンフレットより) 「活弁シアター」を観に出かけた。 映画『吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響曲』(1922…

高橋英夫著作集のこと

最近、河出書房新社から高橋英夫著作集が出ました。『高橋英夫著作集テオリア〈1〉批評の精神』です。 昨年、高橋英夫氏の単行本未収録エッセイ集『五月の読書』が刊行され読んでいたら、ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』の翻訳で校正刷りができたら、林達…