2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

霜降と戦時下の日本の漫画映画

10月24日は、二十四節気のひとつ霜降であった。 この日、山間部では朝の冷え込みで、氷点下を記録したとニュースで報じていた。 霜降というように、この時期の自然の移り変わりをよく表しているものだ。 動植物では、ここ数日ウグイスがやって来る。一メ…

『日本人は何を捨ててきたのか』

新刊の鶴見俊輔と関川夏央の両氏による対談『日本人は何を捨ててきたのか』(筑摩書房)を読んでいる。 この対談集は、二つの対談をまとめている。 「第一章 日本人は何を捨ててきたのか」と「第二章 日本の退廃を止めるもの」。 第一章は、1997年3月1…

映画『ウェイヴ』

20日、「日独映画祭EN」から、デニス・ガンゼル監督の映画『ウェイヴ』(2008年、ドイツ、108分、カラー)を観る。観客は40人ほど。 出演はユルゲン・フォーゲル、フレデリック・ラウ、マックス・リーメルト。 プログラムに、 独裁制をテーマにし…

何事の心いそぎぞ秋の蝶

秋日和で、通り沿いの花壇に蝶が舞っている。 黄色い花弁(はなびら)に舞い降りた。 ツマグロヒョウモンの雄かな。? 明治二十八年の正岡子規の句に、「何事の心いそぎぞ秋の蝶」。 もう一句、「馬糞に息つく秋の胡蝶かな」。 8月、小学生・中学生・高校生…

映画『ほら男爵の冒険』

2011年は、日本とドイツが1861年に修好・通商・航海条約を結んでから150年目にあたるということで、昨年の10月からの日独交流150周年を祝う多彩なイベントのひとつ「日独映画祭EN」が、14日から映像文化ライブラリーで始まっている。 上映…

安部公房伝3

3月11日、この日の午後、大型電器店に寄った時にテレビ売り場で東北の地震を知った。 その朝だったが、朝日新聞で中原佑介氏の訃報記事を目にしたのだった。 安部ねり著『安部公房伝』(新潮社)に、著者が交流のあった25名にインタビューしている。 こ…

夕風や水青鷺の脛(はぎ)をうつ

橋を渡っていると、大きなつばさを広げた鳥が低空で、滑るように飛んで来た。 すーっと、滑らかに橋のたもとの岸辺に着地する。 アオサギだ。 橋の上は人が多く歩いているが、人の気配に平気でまっすぐ立っている。 遠くから見ると鶴ではないかと思えるほど…

鯉はねて月のさゞ波つくりけり

9日は二十四節気のひとつ寒露である。 金木犀(キンモクセイ)の花の香りがする季節になった。 川を渡っていると、川面をジャンプしている魚が一匹見られた。 ホップ、ステップ、ジャンプと順々に水面から飛び上がっていた。 水中から大気中へ魚が飛び出し…

安部公房伝2

安部ねり著『安部公房伝』が面白い。 《この伝記は、大まかに言えば伝記部分と言語論などの理論展開の部分でできています。理論展開の部分は、読むのが面倒くさい方も多いかと思います。お気に召さないところは、ぜひ飛ばして好きなところだけ読んで下さい。…

安部公房伝

夜明け前の星空を眺める。時間は5時を少し過ぎた頃、南の空に、オリオン座が見られる。 オリオン座のリゲル、時計回りにおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、六個の星がつくる…

新日曜名作座と平清盛

日曜日の夜はNHKラジオ第1で、 新日曜名作座に耳を澄ませる。 「岸本葉子短編集」を8月28日から毎週、日曜日の夜に放送しているのだ。 先週は、「多生の縁」に耳を傾けた。 今夜は、岸本葉子の原作「長女の春」を聴く。脚色は富永智紀による。 出演は、…