2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

青空は遠夏山の上にのみ

先日、公園の樹木にモミジバフウの葉っぱと果実を見つけた。 葉の形がモミジの葉っぱに似ている。モミジよりも大きな葉っぱだ。 果実の形が、刺々(とげとげ)しい。 「霧うすき小諸城址に入らんとす」 「蝉咽ぶ他郷信濃の古城址に」 「城頭の夏芝に枯れ一つ…

『稲垣足穂 飛行機の黄昏』のこと

『新刊展望』9月号の「今月の主な新刊」で注目したのは、『稲垣足穂 飛行機の黄昏』である。 版元の平凡社の内容紹介は、 《独特のモダニズム感覚で、今も根強い人気を誇る稲垣足穂。月や星への憧れ、ヒコーキ野郎たち礼讃、神戸の街への偏愛、そして幼少期…

映画『ロング・トレイル!』

ケン・クワピス監督の映画『ロング・トレイル!』(2015年、1時間44分、シネスコ、カラー)を観に出かけた。原題が、A Walk in the Woods。 中高年の観客が多し。 出演、ロバート・レッドフォード、ニック・ノルティ、エマ・トンプソン。 「エンド マ…

「戦禍に生きた俳優たち」のこと

講談社のPR誌「本」の連載で「戦禍に生きた俳優たち」(堀川惠子)を毎回楽しみにしている。(筆者の堀川惠子さんは、8月5日の中国新聞に文を寄せていた!) 今月の9月号は、「伝説の舞台から『無法松の一生』へ」と題して、堀川さんは俳優の丸山定夫の演…

青栗大樹なぞへの影みな団々と

23日、晴れる。最高気温36℃、最低気温26℃。 二十四節気のひとつ処暑で、暑さがしのぎやすくなる頃というけれど、まだ熱帯夜がつづいている。連日のニュースで、熱中症の話題が報じらる。 「山の日」の栗の樹。 「青栗大樹なぞへの影みな団々と」 「青…

印象的だった作品

第16回広島国際アニメーションフェスティバルの最終日、表彰式・閉会式の後に受賞作品の上映会があった。 印象的だった作品を挙げると、 観客賞のナターリア・チェルニェソヴァ監督の『ザ ゴッサマー』(ロシア)4分4秒。 国際審査委員特別賞のユリア・…

クリ・ヨウジ展『クレージーマンガ』

第16回広島国際アニメーションフェスティバルに出かける。 1階の「アート・アニメーションのちいさな学校」のコーナーに、映画「セシウムと少女」のポスターが貼ってあり、パンフレットも展示されていた。 映画は19日に上映された。 クリ・ヨウジのマン…

新刊の「ちちんぷいぷい」

『中央公論』8月号に掲載のタイトルが《「ちちんぷいぷい」が描く東京の町と人》は、『ちちんぷいぷい』を書いた筆者の松山巌さんと中野翠さんの対談。 東京の戦後復興期の空き地と土管のある風景、東京タワーの建設される時代を住民として見ていた松山巌さ…

中盆や後山の雲に人行かず

街路樹のナツメの木が、黄緑色の実が黄色味を帯びて来ていた。 残暑が厳しい。連日、35℃を越える猛暑日です。 「中盆や後山の雲に人行かず」 「かたつむり南風茱萸(ぐみ)につよかりき」 「水あかり蝸牛巖を落ちにけり」 飯田蛇笏の俳句で、昭和十一年(…

『イワナとヤマメ』2

今西錦司著『イワナとヤマメ』を読んでいる。 今西錦司は1930年ごろ、日本アルプスの鹿島川のイワナについて、すこし調べたことがあるそうだ。 かれらの食生活を調査したのである。 四月のはじめと十月のはじめに調べた。 その結果、四月のほうは、全食…

『イワナとヤマメ』

夏の読書に、『イワナとヤマメ』という本を読んでいる。 渓流釣りが生涯にわたる趣味であるとともにフィールドワークでもあった今西錦司の魚文集である。論考と随筆が収録されている。 「ヤマメ釣り」「中国地方のイワナ探検」「イワナ探検その後」などの文…

最先端の登山思想

7日は、二十四節気のひとつ立秋であった。晴れて、最高気温35℃、最低気温27℃。 今月の11日が「山の日」という祝日になるそうだが、「ちくま」2016年8月号の「もしかして最先端の登山思想」(服部文祥)を読んだ。 ちくま文庫『増補 サバイバル!…

ブザー鳴る夜半の銀河の行方かな

街路樹のプラタナスの幹にクマゼミが鳴いている。 翅(はね)が透明だ。体は黒っぽい色をしている。 観察しているクマゼミは鳴いていないので、メスのようだ。 半翅(はんし)目セミ科の昆虫。体長約五センチ、翅(はね)の端まで約六・五センチ。光沢のある…

「ミュージック・イン・ブック」を聴く

夜、NHKラジオの番組で、「ミュージック・イン・ブック」を聴く。 今回は「リスナーから寄せられたお気に入りの小説とそれにまつわる音楽」と題して放送された。司会の松浦寿輝氏によって音楽と文学のエピソードが語られる。 放送された曲は、 山下達郎の…

かつ動く額の汗のきらりとす

連日、うだるような熱波の日がつづく。 昨日の夕方、にわか雨があった。雨の中、街路樹の上が蝉時雨(せみしぐれ)であった。 見上げるとアブラゼミが仲間で集まり鳴いているのだった。 「三越を歩き呆けや花氷」 「かつ動く額の汗のきらりとす」 昭和十年(…