2016-01-01から1年間の記事一覧

年忘れひそかに祀る神おはし

大晦日(おおみそか)は一年の最後の日。 最高気温10℃、最低気温4℃。晴れて西からの風がゆるやかだ。 街路樹の山茶花(さざんか)が満開で目を楽しませてくれる。 夕方の南西の空は澄み渡った冬空で、宵の明星の金星が明るく輝いている。 地上の騒がしさ…

ロベルト・ロッセリーニ監督の映画『イタリア旅行』

23日、「アモーレ! イタリア映画特集」と題して愛をテーマにした映画の一本が映像文化ライブラリーで上映された。 ロベルト・ロッセリーニ監督の映画『イタリア旅行』(1953年、イタリア、85分、白黒、日本語字幕)で、館内は満席。中高年の女性客…

芥川龍之介の父系のルーツ

平成28年12月3日から平成29年2月12日まで広島市立中央図書館2階展示ホールで企画展「没後100年・生誕150年――漱石と広島」が開催されている。 先日、「没後100年・生誕150年――漱石と広島」展を見に出かけ、会場で「漱石と広島」の会の…

烏瓜届けずじまひ師走かな

24日、渡り鳥のヒドリガモが水辺に群れていた。師走の冬の風物詩。 岸辺から餌を撒(ま)く男がいて、その餌を求めてヒドリガモは集まって来ていた。 「手賀沼の鴨を賜る寒さかな」 「烏瓜届けずじまひ師走かな」 「叟(そう)一人巴里に食ふ鴨寒からむ」 …

柿の木であいと答へる小僧哉

晴れた青空を背にして、柿が鈴なりである。 柿日和だ。 「渋柿と鳥も知て通りけり」 「柿の木であいと答へる小僧哉」 小林一茶の俳句で、文政三年の句です。 座談や対談本が何故か好きである。 立東舎の『きっとあなたは、あの本が好き。』は、読書ガイド本…

残りたつ絮(わた)飛ばさんと枯薊(あざみ)

二十四節気のひとつ冬至で、天気は曇りだった。最高気温15℃、最低気温10℃。 風はなく湿度が高い。冬木立の公園の池に、睡蓮の葉が浮いているのが眺められた。 冬空と枯れた銀杏(いちょう)の枝が、浮き葉のあいだに映っている。 「かへりみて歩をうなが…

「新刊展望」最終号

もうすぐ冬至であるが、気温が高く晴れた。最高気温16℃、最低気温10℃。 落葉樹の葉はすっかり散ってしまい、枯れ枝のシルエットが青空に映える。 書店で「新刊展望」2017年1月号を頂いた。 1957年に創刊した60年もつづいた「新刊展望」誌が休…

フリッツ・ラング監督の映画『メトロポリス』

約1世紀前に、この21世紀を予見した!? SF映画の原点にして、頂点!! 今月(12月)の「活弁シアター」で、フリッツ・ラング監督の映画『メトロポリス』(1927年、ドイツ、85分、白黒、無声)を映像文化ライブラリーで鑑賞。フィルム提供・マツ…

2016年の「この3冊」3

先日の毎日新聞の日曜版の「今週の本棚」に書評執筆陣が選んだ2016年の「この3冊」で、井波律子氏が挙げていたのが、池内紀著『亡き人へのレクイエム』、鶴見俊輔著『敗北力 Later Works』、賈平凹著『老生』。 井波氏のコメントの『亡き人へのレクイエ…

2016年の「この3冊」から2

毎日新聞の日曜版の「今週の本棚」に、2016年の「この3冊」が掲載されている。 毎日新聞の書評執筆陣が選んだ3冊の本です。 池内紀氏が、選んだ1冊にフィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』(新潮文庫)の注釈と対談が気になります。 コメント…

2016年の「この3冊」から

毎日新聞の日曜版の「今週の本棚」に、書評執筆陣が選んだ2016年の「この3冊」が掲載されている。 どんな本が挙げられているのかな。 鴻巣友季子氏が選んだ三冊のうちの一冊が、長嶋有の小説『三の隣は五号室』であった。 中央公論新社の文芸誌「アンデ…

にしき木も刈られし籠(かご)の山すすき

7日、二十四節気のひとつ大雪であった。最高気温14℃、最低気温4℃。晴れる。 8日、晴れ。最高気温14℃、最低気温5℃。大気が非常に乾燥している。 初冬の日暮れは早い。西日で、道に影が長く映る。 ススキの穂は傾いた日の光に照らされていた。 「にし…

対談「にっぽん そぞろ歩き」

3日、夕焼けの後、快晴の夕空になり、南西に細い三日月と金星が並んで眺められた。 金星は宵の明星と呼ぶにふさわしい輝きである。高度がしだいに高くなっている。 天体観望に最適な季節がやって来た。 地にはまだモミジの紅葉が見られる。山茶花(さざんか…

『フランス映画史の誘惑』から

先月(11月)、広島国際映画祭2016があり、「ディアゴナル特集」が映像文化ライブラリーで上映された。 「ディアゴナル」というのは、フランス語で「対角線」を意味する。 映画製作会社の「ディアゴナル」社を一九七〇年代に設立したポール・ヴェッキ…

咳き止むをわが待ち人も待つて居る

街路樹に赤い実をつけた樹木が目立ちます。 赤く熟したクロガネモチの実と良く似た赤い実を付けるタラヨウという木がありました。 説明板に、釘(くぎ)で葉っぱの表面に文字を書くと、けずった部分が黒くなって、郵便切手を貼れば葉書き(ハガキ)として使…

書評から

「出版ニュース」2016年11月下旬号を手にとってみた。 「ブックハンティング2016」に齋藤愼爾氏が、佐久間文子著『「文藝」戦後文学史』の書評を書いている。 最後に、興味深いエピソードが語られていました。 主 かつて澁澤龍彦氏に「最も愛する…

100分de名著「レヴィ・ストロース 野生の思考」

22日、二十四節気のひとつ小雪であった。最高気温21℃、最低気温13℃。小春日和。 25日、最低気温が7℃、最高気温15℃、晴れて陽射しが強く空気が乾燥している。 夕方、静かな川面(かわも)に渡り鳥のヒドリガモが群れていた。この冬で一番の大群で…

掃いてある落葉の道がみちびきぬ

公園のトウカエデも紅葉している。風が吹くと一枚一枚と舞い散るのが見られた。 幹を中心に落葉は、積み重なっている。 「掃いてある落葉の道がみちびきぬ」 「走り去る毬(まり)さびしけれ銀杏散る」 「悲しさは夜の冬木根につまづきて」 中村汀女の俳句で…

小沢信男著『俳句世がたり』のこと

薄曇りで最高気温22℃、最低気温15℃。北寄りの風が吹く。 風で散った街路樹のサクラの落葉が、幹の周辺に積み重なっていた。 葉っぱを踏むとカサカサと音がする。 白い猫がサクラの太い枝の部分に一匹うずくまっている。白い猫を見つけた通りがかった人が…

「新刊展望」の休刊

「新刊展望」12月号を入手。巻末に「新刊展望」の休刊のお知らせがあったので驚いた。 1957年の創刊の雑誌が次号1月号(12月15日発売)をもちまして休刊させていただくことになりました、とある。 今後はWEBサイト「WEB新刊展望」「ほんの…

枝に残る銀杏は知らね落葉掻

街路樹のイチョウの葉も黄葉して、散った葉で地面が明るくなっていた。 風が吹くと黄色い葉が舞い落ちる。 「稲雀にも夕暮や人戀し」 「烈風の日の公園の落葉掻(かき)」 「枝に残る銀杏は知らね落葉掻(かき)」 中村汀女の俳句で、昭和二十一年(1946…

夏目漱石の「坊っちゃん」

渡り鳥のヒドリガモの群れが河岸に眺められた。 街路樹の下にドングリの実が落ちて、敷き詰められている。 季節は秋から冬へと移る。 昨夜、NHKラジオ第2で、夏目漱石の「坊っちゃん」を放送していた。 テキストは、1929年初版の岩波文庫(2014年発…

映画『愛の群島』

広島国際映画祭2016「ディアゴナル特集」が、映像文化ライブラリーで11日から13日まで開催される。 12日、映画『愛の群島』(1983年、フランス、100分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を観る。観客は60人ほど。 オムニバス作品。原題が…

映画『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』とポール・ヴェッキアリ

広島国際映画祭2016「ディアゴナル特集」が、映像文化ライブラリーで11日から13日まで開催される。 11日、夜の部のマリー=クロード・トレユー監督の映画『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』(1980年、フランス、80分、カラー、35ミリ、…

時雨るるや水をゆたかに井戸ポンプ

曇りのち、夕方に時雨れる。最高気温16℃、最低気温12℃。 歩道脇の草地に、ねこじゃらしの穂を見つけた。 夏の頃は緑色の穂だったが、色が枯れはじめている。犬の尾の草。 エノコログサ(狗尾草)イネ科の一年草。路傍や空き地の至る所にみられ、高さ四〇…

殊更に歩をゆるめしが田鴫(たしぎ)撃つ

6日、快晴で北寄りの風が強い。最高気温20℃、最低気温12℃。 風波にゆれる川面(かわも)に渡り鳥のヒドリガモが群れていた。 7日は二十四節気のひとつ立冬である。最高気温18℃、最低気温8℃。 晴れた夕方の空に上弦の月が見られる。西の空には金星が…

蜘蛛と雑誌『ヒトハコ』のこと

先日の野草の薬師草の付近に、蜘蛛(くも)が幾つか巣を張っていた。 大きな網(あみ)の中心にいるのは女郎蜘蛛(じょろうぐも)のようだ。 コガネグモ科のクモ。体長は雌が二五ミリ、雄が七ミリくらい。雌は腹部には黄色や青黒色の縞があり、側面後方に紅…

『松山俊太郎 蓮の宇宙』を読む

松山俊太郎著『松山俊太郎 蓮の宇宙』を手にとってみました。 この本がどのような本であるかは、版元の太田出版の「蓮の宇宙」に詳しいです。 参照:http://www.ohtabooks.com/sp/hasu/ “怪人”松山俊太郎 松山俊太郎インタビュー 安藤礼二による解説 「蓮の宇…

薬師草とPR誌「本の窓」

九月は気温が高かったが、十月は下旬から秋らしくなる。 29日、晴れて最高気温21℃、最低気温17℃。北寄りの風が吹く。 道端に黄色の野草が咲いていた。黄色が鮮やかで遠くからでも目につく。 近くで花を観察した。後で調べると、薬師草(ヤクシソウ)と…

連載が終わる。

水の少ない水路にコサギが餌を探しているのを見かけた。 人への警戒感が強いのか、人間の姿を感じると大きなつばさを広げて飛び上がり近くへ隠れるような移動をするのだった。首を縮めると姿が小さくなる。 「ユリイカ」2016年10月号は、特集=永六輔…