2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『ロンドンの味』

サザンカの花が街路樹の生垣に咲いていた。冬の風物詩である。 日が暮れると東北東に、もうすぐ満月を迎える月が昇って来ていた。滑らかな川の水面にも月が白くゆらめいて映っているのだった。 《「さんさか」の音変化》ツバキ科の常緑小高木。九州・四国の…

『風の中の牝雞(めんどり)』

「生誕100年 田中絹代・上原謙特集」が11月、12月と映像文化ライブラリーで開催されている。 27日、小津安二郎監督の映画『風の中の牝雞(めんどり)』(1948年、松竹、83分、白黒)が上映された。観客は15人ほど。出演は佐野周二、田中絹…

『暁の脱走』

26日、映像文化ライブラリーに寄り、谷口千吉監督の映画『暁の脱走』(1950年、新東宝、110分、白黒)を観る。 田村泰次郎の『春婦伝』が原作。谷口千吉と黒澤明の脚色だ。観客が何時もより多い。 ホール内で「60年前の映画だよ。」と言う声がし…

詩はどこへ行ったのか

快晴で暖かかった。最高気温18度を記録する。小春日和である。 街路樹のソメイヨシノの葉が紅葉していた。青空が広がり 桜の葉が色付いて、目が覚めるような赤色だ。 日が暮れると、上弦の月が南に高く眺められた。 木星が右手に少し低く並んで輝いている…

ロバート・キャンベル氏の話3

ラジオ深夜便の「人生私流」でロバート・キャンベル氏の「私が江戸の文化を好きになった理由」の後半で、江戸文学の何が面白いかが語られます。聞き手は榊寿之アナウンサーです。 江戸時代の小説にしても随筆にしても自叙伝や手紙にしてもそこに書かれている…

ロバート・キャンベル氏の話2

10月17日のラジオ深夜便で、「人生私流」を録音していたのを聴きなおす。 出演はロバート・キャンベル氏で、「私が江戸の文化を好きになった理由」というタイトルで、聞き手が、この日が担当日の榊寿之アナウンサーである。 聞き取ったところを少し書い…

『一箱古本市の歩きかた』

大通りに光のイルミネーションが夕方になると灯り、18日からえびす講が始まっている。 書店で平台に南陀楼綾繁著『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)を見つけ買う。 12日の中国新聞で先日の「一箱古本市」についての記事があった。 南陀楼さんの話と…

『20世紀とは何だったのか』

「本はねころんで」で高杉一郎さんによる『エロシェンコ全集』についての話を興味深く読んでいます。 たまたま今読んでいる、なだいなだと小林司のお二人の対談本『20世紀とは何だったのか』1992年1月第1刷(朝日選書)に、エロシェンコと高杉一郎さ…

わたり鳥こゝをせにせん寺林

通りの街路樹が紅葉している。イチョウの黄葉やトウカエデの紅葉が鮮やかだ。落葉が街路樹の周辺に散って絨毯(じゅうたん)のようになっている。 カエデ科の落葉高木。葉は浅く三つに裂けており、秋に紅葉。四、五月ごろ、淡黄色の花がつき、翼のある実を結…

一箱古本市

「お好み本ひろしま2009 一箱古本市」が11月7日、8日と開催された。 前夜祭の6日を含めれば三日間である。 参照:「お好み本ひろしま2009 一箱古本市」http://bookrainbow.com/okonomi/ 7日の一箱古本市に参加した。出品する本を準備するまで…

「暗闇の楽器」ブーン、ブーン

『図書』2009年11月号連載の今福龍太《「薄墨色の文法」13――「唸り」一》が面白かった。 「暗闇の楽器」と題して、《回転によって音を発する素朴な民俗楽器に、私は長いあいだ魅了されてきた。》という冒頭の一行からはじまる文である。 ロイ・ロイ…