2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

フィリップ・K・ディックの「高い城の男」

朝のNHKラジオ「すっぴん! 宮沢章夫▽愛と独断のサブカルチャー講座」で、フィリップ・K・ディックの「高い城の男」をめぐっての談話が面白かった。 ゲストの西田藍さんが「高い城の男」について語っている。 「高い城の男」はアメリカが第二次世界大戦で負…

吉村昭の戦争小説について

新潮社のPR雑誌「波」12月号で、川本三郎の「吉村昭を読む」を読んだ。 「敗者としての戦犯を描く」と題して吉村昭の戦争小説について論じている。 論じられているのは、吉村昭の『遠い日の戦争』で、主人公は昭和二十年八月十五日の直後、捕虜になったB2…

アサリと原節子さん

晴れた。最高気温13℃、最低気温9℃。空気が乾燥している。 浜辺にアサリを見つけた。殻(から)の模様が、それぞれ微妙に違っている。 マルスダレガイ科の二枚貝。淡水の流れ込む浅海の砂泥地にすむ。殻長約四センチ。殻表は粗い布目状で、模様は変化に富…

秋風とジープの走り無心なれど

23日は二十四節気のひとつ小雪であった。 北風がようやく強くなり、山茶花(さざんか)が咲く時期である。 曇り、最高気温21℃、最低気温13℃。 立冬が過ぎて、紅葉がまだ見頃である。 ヒサカキの実を見かけた。黒っぽい実が鈴なりだ。 小高木といった樹…

『お早く御乗車ねがいます』を読む、「可部線の思い出」

「図書」10月号が800号記念で、「『図書』八〇〇号と阿川弘之先生」(関川夏央)を読む。 《「汽車ポッポ」好きで知られた阿川さんが、最初の鉄道エッセイ集『お早く御乗車ねがいます』を刊行したのは五八年七月、三七歳のときで、こんなものが本になる…

まだ青き檪(くぬぎ)落葉はことに燃ゆ

海藻が砂浜に打ち寄せられていた。 小さな砂礫(されき)の浜である。 調べるとアオサとオキツノリのようである。 アオサ科の緑藻。海岸の岩石に着生し、濃緑色で平たく、ところどころ穴がある。あなあおさ。 『大辞泉』 波に洗われてみずみずしい色をしてい…

栗を焼く伊太利人や道の傍(はた)

16日、午前一時半ごろにオリオン座が南中していた。 月明かりがないので、天体観望に最適だった。 シリウスが明るく輝いている。 星と星を結ぶ大きな六角形の冬のダイヤモンドを眺めることができた。冬の星座が華やかだった。 天に星、地には山茶花(さざ…

渡り鳥と「The art of living」

渡り鳥を見かけた。ヒドリガモである。 数百羽の群れだった。壮観だ。 川面(かわも)に一面に群れていた。川の流れがゆるやかで隊列をつくった鳥の位置が絶え間なく変化してゆく。 その変化してゆく鳥たちの並び方が岸辺から眺めると、その形が色々なモノを…

牡蠣むきの殻投げおとす音ばかり

海辺の浅瀬にアサリを見つけた。 水中のアサリが列をなしている。また、海草にふんわりと包まれたアサリもいた。 付近の岩場には牡蠣(かき)が見られる。 自然に岩礁に付いて育ったものだろう。海水が透明できれいだ。 「牡蠣むきの殻投げおとす音ばかり」 …

佐藤忠男著『喜劇映画論』3

佐藤忠男著『喜劇映画論』を読む。 「愛嬌について」「ふたたび、愛嬌について」で、日本の喜劇俳優をめぐり、その芸について佐藤忠男さんは、記憶を頼りに彼らの芸を書きとめている。 これが面白い。 まず、小津安二郎の無声映画時代の斉藤達雄、「大人の見…

遠き鷹石の橋梁岩を綴る

8日、二十四節気のひとつ立冬である。最高気温20℃、最低気温18℃。 しばらく青空の秋日和がつづいていたが、どんよりの曇り空で時雨(しぐ)れた。 紅葉は見頃になっている。 中村草田男の昭和十八年の俳句で、「遠き鷹石の橋梁岩を綴(つづ)る」に、 …

木の実だく栗鼠木がくれに秋しぐれ

もうすぐ立冬、街路樹のドングリ(団栗)が地面に散らばっている。 帽子をかぶったドングリも見られた。 白樫(シラカシ)の実のようだ。 「木の実だく栗鼠(りす)木がくれに秋しぐれ」 飯田蛇笏の俳句で、昭和二十一年(1946年)の句、「廬後大谷山道…

佐藤忠男著『喜劇映画論』2

山野は紅葉が始まり乾燥した晴れ間がつづく。最高気温20℃、最低気温10℃。 どんぐりも転がっているのでひとつ拾ってみた。 山口昌男の本が今年になって二冊刊行された。 その一冊が山口昌男著『エノケンと菊谷栄』です。 エノケンこと榎本健一の劇団ピエ…

佐藤忠男著『喜劇映画論』

新刊で佐藤忠男著『喜劇映画論』を読む。 サブタイトルが「チャップリンから北野武まで」である。 「はじめに」より一部引用。 《人間は笑わずに生きることはたぶんあり得ない。なにをどう笑うかこそが、社会のありようをきめるものであり、人生の幸不幸を左…