「図書」7月号から

 「図書」7月号に掲載されている文筆者・切通理作さんの「古本屋は、無限の世界とつながっている」で、《私は物書きだが、昨年の八月からなぜだか古本屋もやっている》という。切通理作さんの地元・阿佐ヶ谷の松山通りという商店街に「ネオ書房」という店名で古書店をやることになった経緯(いきさつ)を興味深く読んだ。《一冊一冊に、ふたたび読者とふれあい、スパークするのを待っている言霊たちがひしめき合っている。》

https://youtu.be/u2wtgRo9CdY

映画「月曜日が嫌い」

《今年もポーランド映画祭では、民主化以前に製作された秀作から近年製作された感動の実話ドラマやコメディなど、バラエティーに富んだ作品の数々をお届けします。
 巨匠アンジェイ・ワイダ監督の代表作『灰とダイヤモンド』、民主化以前に製作されたコメディ『月曜日が嫌い』、アカデミー賞の監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3部門にノミネートされた『COLD WAR あの歌、2つの心』、共産主義体制に反発しながら革新的なサウンドを生み出し続けたジャズ・ピアニストのドキュメンタリー『コメダコメダ』、など計10作品を上映します。これらの作品から、ポーランドの過去と現在、そして未来を体感してください。》

 今年のポーランド映画祭からの一本で、タデウシュ・フミェレフスキ監督の映画『月曜日が嫌い』(1971年、ポーランド、103分、カラー、日本語字幕、デジタル)を鑑賞する。

 政府の任務で出張に来たものの、なかなか目的地へたどり着けないイタリア人。学校創設のために寄付をするアメリカ人。朝は牛乳配達、昼間は工事現場で働くポーランド人。ワルシャワを舞台に、愛すべき人々の生活を描いたコメディ。その牧歌的で楽しい人間模様は共産主義政権下で製作されたとは思えないほど。ポーランド映画祭パンフレットより)

 ポーランドワルシャワの街を舞台にしている。午前零時からの二十四時間のワルシャワの街に起こる登場人物たちの巻き起こす静かなナンセンスな笑いとユーモアのある作品。楽しい人間模様を味わえる。映画祭パンフレットにあるように共産主義政権下で製作されたとは思えない。スポーツカーのエンジンを始動させるためのクランク棒を杖(つえ)がわりにして路面電車のレール上に滑らせて、眠りながら歩き続ける(有名人らしい)男、交差点で交通整理をする警官と幼い男の子、おしっこをしたくなった男の子をパトカーが呼ばれて警察署に運ばれる。朝の牛乳配達人がアパートに配るときに起こるドタバタの混乱。昼間工事現場で仕事をさぼって眠っていてクレーンで高い所へ吊り上げられてしまった作業員、昼食になっても誰も気づかない。トイレットペーパーが品不足であることがわかる場面がある。イタリアからポーランドへ役人に会いに来たイタリア人が空港でタクシーに乗るも役人一行とすれ違いを何度も繰り返し、ハチャメチャの混乱ぶりに大笑い。ポーランド系のアメリカ人がワルシャワに学校建設に寄付をした開校式に間に合わないタクシートラブルなど、とぼけた味わいのある喜劇映画である。

PR誌の連載から

 カリン(花梨)の実が大きくなっていました。カリンの実は、まだ黄緑色で硬くニワトリの卵のような形です。鈴なりですね。

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 先日、書店で紀伊國屋書店のPR誌、scriptaの56号(七月発行)を入手しました。連載「半農半翻訳な日々」(吉田奈緒子)、「ROADSIDE DIARIES 移動締切日22」(都築響一)を読む。「半農半翻訳な日々」は、今回が最終回。タイトルは、モロトフ・カクテルで〈生〉に乾杯。マーク・ボイルの本は、『モロトフ・カクテルをガンディーと――平和主義者のための暴力論』というタイトルで六月半ばに刊行されるという。翻訳する中で新型コロナウィルス感染症の世界的大流行がはじまり、日本でも緊急事態宣言が発令され、世の中が一変してしまって、図書館が一斉に閉館し使えなくなったエピソードを書いている。

 都築響一の「ROADSIDE DIARIES 移動締切日22」は、3月3日~12日にアメリカ・ニューヨーク市を訪れた筆者の街歩き見聞録。フレデリック・ワイズマンの映画や小説家バリー・ユアグローについて言及あり。

 

 

今年の二度ある梅雨や額の花

 

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 梅雨の晴れ間に、アジサイの花が咲いていました。ガクアジサイ(額紫陽花)とアジサイ(紫陽花)が見ごろです。

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「紫陽花の大きな毬の皆褪せし」
「今年の二度ある梅雨や額の花」

 松本たかしの俳句です。

 

 『中央公論』の6月号で、対談「要再注目!いま自宅で読みたい本はコレだ」(岡崎武志×永江朗)を見ました。タイトルに、カミュ『ペスト』だけじゃない、という惹句があります。最近、永江朗著『おじさんの哲学』を読み直していたこともあり、岡崎武志さんと永江朗さんの本をめぐる対談がオモシロかったです。

 

おじさんの哲学

おじさんの哲学

  • 作者:永江朗
  • 発売日: 2014/03/28
  • メディア: 単行本
 

 

ラジオの書評

 朝、NHKラジオの番組の「著者からの手紙」で、『「山奥ニート」やってます。』の著者・石井あらたさんが出演。この作品は私たちのこうでなくてはいけないという思い込みをはげしく揺さぶってきます。お金はどうしているんですか。と聞かれるそうですが、とても興味深い話でありました。

 ニートは社会の余禄で、社会に暇を持て余しているひとがいるのが健全な社会であります。といった談話も展開される。

https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=5642_07_918672


                         
 ラジオ深夜便からは、「ないとガイド」の「やっぱり本が好き」という番組で、書評家の永江朗さんの出演であった。今月のおすすめ本、三冊の書評を聞く。
 一冊目は、多和田葉子著『星に仄めかされて』。
 二冊目は、内田洋子著『サルデーニャの蜜蜂』、イタリアのサルデーニャの蜂蜜農家に訪ねて行く見事なエッセイ。エッセイの一部が朗読された。
 三冊目は、藤原新也著『日々の一滴』、エッセイであり時事評論としても読める。

 

 

「山奥ニート」やってます。

「山奥ニート」やってます。

 

 

 

星に仄めかされて

星に仄めかされて

 

 

 

サルデーニャの蜜蜂

サルデーニャの蜜蜂

 

 

 

日々の一滴

日々の一滴

  • 作者:藤原新也
  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: 単行本
 

 

飛ぶ教室「おもしろがる事のたいせつさ」

 NHKラジオの夜開く学校、「高橋源一郎飛ぶ教室」を聴く。今週のゲストが建築家の堀部安嗣さんで、はじめに高橋源一郎自身の今までに住んだ家についての話からはじまりました。生活の拠点にした家の数を数え(引っ越しで三十数か所)、(大阪、東京、尾道)その家にまつわる人の思い出を振り返ることから、家のあった土地その記憶が人間にとって大切なものであることを語り、瀬戸内寂聴の長編小説『場所』という本も紹介される。瀬戸内さんがかつて愛した男たちが住んでいた土地を訪ね歩く話を書いています。家や土地の記憶のない人は戻るべき場所のないさびしい人間です。大切な土地の記憶のない人間は寂しいものです。感慨深そうに自分の経験にふれてその気持ちを述べる。

 今週の「秘密の本棚」は、『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』という斉藤倫の本でした。高橋源一郎さんが朗読をする。なかなかの名調子。創作童話で詩人の詩のアンソロジーでもあり、番組での耳で聴いた長田弘の詩の一行、アイスクリームは死ね? ってどんなことなんだ。
 すごい詩ですね。すごいおじさんですね。詩や文学がおじさんの役割をしてくれている。と司会の高橋源一郎小野文恵さんの二人が語り合う。前半は、ここまで。

 間奏曲は大貫妙子の「黒のクレール」。

www.youtube.com

 後半の「きょうのセンセイ」のゲストは建築家の堀部安嗣さん。高橋源一郎がその建築哲学を聞く。阿佐ヶ谷に建設した八坪の土地に一万冊の蔵書を収めたという社会学者・松原隆一郎さんの書庫付きの家をめぐり堀部安嗣さんにインタビューする。

 番組は6月19日まで配信があります。
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=6324_01_855191

 

 

 

文学さんぽ「谷崎潤一郎」

 

 ヤマモモ(山桃)の木に実が紅く色づいています。熟した実は地面に点々と落ちていました。


 ヤマモモ科の常緑高木。本州中部以西の山地に多く、高さ約一五メートル。葉は長楕円形で、革質。雌雄異株。四月ごろ開花し、雄花穂は黄褐色、雌花穂は花柱が紅色。実は球形で、夏に紅紫色に熟し、食用。樹皮は染料、漢方では楊梅皮(ようばいひ)といい薬用。楊梅。しぶき。  『大辞泉

 

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 5月30日のNHKラジオの土曜さんぽ、島田雅彦の文学さんぽ「谷崎潤一郎」を聴きました。6月29日まで配信があるようです。
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=5642_16_38662

 関東大震災地震から逃げるという選択で関西に移住をした谷崎潤一郎とその作品について島田雅彦の文学さんぽ「谷崎潤一郎」が放送された。その興味深い話を聴きました。『吉野葛』、南朝に興味を持った谷崎が負け組のサイドに立って、敗者の側からの口承文学の系譜など話される。元人妻から習ったブルジョア船場言葉、よそ者の目で関西をみた谷崎の文学を鑑賞するうえで欠かせませんね。などと島田雅彦さんの話を聴いたのだった。

 参照:『吉野葛

http://aozora.binb.jp/reader/main.html?cid=56867