PR誌から

 白水社タブロイド版のPR誌『パブリッシャーズ・レビュー 白水社の本棚』2020年冬号の一面の「愛書狂」が、伊藤整の『日本文壇史』(講談社文芸文庫)は読み始めると止められない、といって、若山牧水の恋をめぐって書いている。「愛書狂」の筆者は俵万智の『牧水の恋』を並行して読んでいた。この評伝の俵の大阪弁「惚れてまうやろ!」に驚き、《調べたら俵は幼少期、大阪で育っている。しかも門真市生まれなら、枚方生まれの私とは同じ京阪電車利用者で共通する。「同じだね」と知ったからこの日が私の「俵万智記念日」。》

 このコラムを目にすると、俵万智の本を読みたくなりますね。

 

小冊子から2

 先月、図書館で「久我山通信」No.22を入手しました。「佐々木基一研究」のサブタイトルのある小冊子です。目次が、「評伝 佐々木基一 (五)」(杉田達雄)、「わが道しるべーー久保覚」(桑野隆)、「長谷川四郎小沢信男、そして佐々木基一」(渡辺喜一郎)とあります。「久我山通信」発行人・福島紀幸氏の編集後記を一部引用すると、

久保覚ーー1988年に61歳で急逝した、出版編集者であり、文化活動家・思想運動家であり、なによりも”本の人”だった。(彼は、「子どものころのぼくの理想主義的人間像は、本の収集家だった。たえず本屋をうろつきまわったせいか、本の収集をめぐる話や文章には、思わず心を惹かれてしまう」と言っている)。その久保覚の”人と仕事”の全体像を誰かに書いてもらいたい。急逝以来、そう願ってきました。本号に寄稿いただいた桑野隆氏の「わが道しるべーー久保覚」が、その願いに応える端緒となることを希っています。》(中略)

久保覚佐々木基一には、本号ではふれられていませんが、いくつもの接点があります。しかし、佐々木との接点の有無にかかわりなく、小紙は、さまざまな分野の方々からの寄稿を願っています。》

 『ぼくの伯父さん』の著者・福島紀幸氏が発行されている「久我山通信」のことは今まで知りませんでした。長谷川四郎小沢信男佐々木基一に関心をもたれている方は手に取ってみられてはいかがでしょうか。

 

ぼくの伯父さん: 長谷川四郎物語

ぼくの伯父さん: 長谷川四郎物語

 

 

 

 

小冊子から

 時代を鋭く突くサイの角
今も昔も気になる本に犀のマーク
      晶文社
 創業記念60周年記念フェア

 先日、書店のブックフェアで、上記のようなパネルを掲げた晶文社のブックフェア本が展示されていました。「晶文社60周年記念冊子」が置いてあり、無料配布の小冊子でした。手に取って見ました。

 小冊子の内容は、

創業60周年にあたって
略年譜1960―2020
特別寄稿・内田樹岸本佐知子西村佳哲吉本ばなな

「ご挨拶――創業60周年にあたって」より一部引用すると、


《小社は本年二月三日に、創業60周年をむかえます。

創業は、一九六〇年(昭和三五年)。創業出版は寺田透『理知と情念』、大岡信『抒情の批判』の二著でした。創業のあいさつを、初代社長中村勝哉とともに会社設立に加わった小野二郎は、次のように記しています。

「私どもは、このたび晶文社という名のささやかな書肆を開きました。俗にいう山椒は小粒でもピリリと辛いの意気です。もっとも先端的で、同時にもっとも伝統的なもの、要するに語の根源的な意味でのラジカルな出版物を出したいというのが私どもの願いです。」》

 特別寄稿の岸本佐知子さんの「この話、誰にもしたことないんだけど」という寄稿文を興味深く読みました。

山浅く大瀧かかる梅花村

 晴れて暖かい日がつづく。梅の花が満開になった。近寄ると花から良い香りがする。

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 松本たかしの昭和十七年(1942年)の俳句に、

 「紅梅の残りし花に一茶亭」

 前書きは、「六義園」とある。

 

 「山浅く大瀧かかる梅花村」

 「瀧川の流れ出てすぐ梅花村」

 前書きは、「袋田の瀧 二句」とある。

https://youtu.be/zkKthOyfzmI

 

長閑さにまだゐる鴨や浦戸湾

 渡り鳥のヒドリガモを見かける。小さな群れで水面を滑るように移動していた。

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カモ科の鳥。全長四八センチくらい。雄は頭部が赤茶色で額が黄白色、胸がぶどう色、背と側面が灰色。雌は全体に褐色。ユーラシア北部で繁殖。日本では冬鳥で、港湾・湖沼でみられ、雄はピューと笛のような声で鳴く。あかがしら。  『大辞泉

「南国の南縁の梅今盛り」

「旅疲れ溶くるがごとき梅日和」

「春潮や袋の如き浦戸湾」

「長閑さにまだゐる鴨や浦戸湾」

 松本たかしの昭和十九年の俳句で、「高知市町田雅尚居滞留 十四句」という前書きがある。冒頭から選んで四句を引用してみた。

 十三句目の句は、

「梅林に落つる日城を染むるなり」

 十四句目の句は、

「逗留や再び遊ぶ城の梅」

 松本たかしは、高知城天守閣からの眺望も句にしている。

「霞む日の天守閣上の人となんぬ」

「映画をこまかく楽しむために」

 週刊文春の1月30日号の小林信彦の「本音を申せば」第1046回、「映画をこまかく楽しむために」と題して、「椿三十郎」について書いているのだが、入江たか子について記している箇所があった。
 《てっとり早くいえば、「椿三十郎」はお家騒動ものである。三十郎はそれをききつけ、入江たか子のために踏み台になったり、(入江たか子は若き黒澤明にとっての大スターだった)、なぜかお家騒動に噛んでいる仲代達矢をにらみつけたりする。この中で三十郎がとなりの家の椿をまとめて小川に流してくれ、というところがあるが、そこは(本当は)真赤になった椿が流れてくるはずだった。今ならなんでもないだろうが、この映画が作られたころは技術的にむずかしかったらしい。この映画が有名になり、大ヒットしたのは、ラストの三船&仲代の対決のせいだ。》
 「入江たか子は若き黒澤明にとっての大スターだった」という小林信彦さんの指摘に注目。
 城代家老の奥方(入江たか子)とその娘(団令子)が二人並んで小屋の藁(わら)にもたれてすやすやと眠っている。春先の椿が咲く頃の季節を舞台にしているが、一方、外ではお家騒動の真っ最中で男たちが激しい争いを繰り広げている。静と動のこのギャップに見られるユーモア、笑いのセンスにニヤリとする。
 入江たか子のそのおっとりした演技が印象的である。

サザンカ(山茶花)が満開

 サザンカ山茶花)が満開を迎えて散り始めている。

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 『群像』2月号のアンケート特集シネマ2019に、坪内祐三さんが回答していた。 

 1月の坪内祐三さんの突然の訃報に驚いた。
 このアンケートに坪内祐三さんは、田中小実昌の小説を原作とした映画で、神代辰巳監督の映画『かぶりつき人生』を挙げていました。坪内祐三さんの本といえば、晶文社から刊行された『ストリートワイズ』を挙げなければなりませんね。山口昌男さんとの「東京外骨語大学」時代の本ということになりますか。

 

ストリートワイズ

ストリートワイズ