帰らなんいざ草の庵は春の風

 渡り鳥のツバメがやって来た。快晴で、ソメイヨシノの花が見られるようになった。最高気温17℃、乾燥した風が吹く。

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 「帰らなんいざ草の庵は春の風」(芥川龍之介

 大正八年(1919年)の句で、前書きに、「教師をやめる」とあります。

 

 書店でもらう『理』(コトワリ)という非売品の小冊子がある。関西学院大学出版会の16ページと薄い冊子。海老坂武の連載「世界から」があって、愛読している。自著を語る、リレーエッセイなどの文は二ページと短いので手軽に読める。

 海老坂武さんの連載「世界から」は、2019年52号は、第22回「ノートルダム再建 未来志向か復元か」、2020年53号は、第23回「オスマントルコ伝説二題――クロワッサンとコーヒー」。

 

http://www.kgup.jp/files/ko_web_53.pdf

http://www.kgup.jp/files/ko_web_52.pdf

 

映画をめぐる対談

 『望星』4月号の関川夏央平川克美の対談「映画について私たちが語ること」と題した談話を興味深く読む。蔵原惟繕(これよし)監督の映画『憎いあンちくしょう』(1962年、日活)の石原裕次郎浅丘ルリ子芦川いづみをめぐり熱く語っていた。映画『霧笛が俺を呼んでいる』(1960年、日活)の赤木圭一郎芦川いづみ吉永小百合と話題がひろがる。『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』の赤木圭一郎宍戸錠浅丘ルリ子など関川夏央平川克美の談話を楽しむ。

www.tokaiedu.co.jp

 

本の広告から

 タブロイド判出版情報紙(無料)パブリシャーズ・レビューが届いた。「みすず書房の本棚」である。一面の下に国書刊行会の本の広告があり、ケヴィン・ブラウンロウ著『サイレント映画の黄金時代』という本についての紹介文。《スターやスタッフへのインタビューと資料調査で、サイレント映画の魅惑と謎を解き明かす。世界映画史の古典、ついに邦訳。山田宏一氏推薦!》

 

www.kokusho.co.jp

 

サイレント映画の黄金時代

サイレント映画の黄金時代

 

 

「本よみうり堂」から

 読売新聞の書評欄に毎週、「本よみうり堂」がある。3月8日の「現代×文芸 名著60」に、島田雅彦著『君が異端だった頃』を文芸評論家の佐藤康智氏が紹介している。佐藤氏は、《私は数年前、作者の年譜を作る仕事をした。(中略)図書館で資料を漁(あさ)りながら、マルチでカオスな作家の軌跡を年譜化することがいかに大変かを痛感するとともに、思った。自分で書けばいいのに。》
 先月、『君が異端だった頃』を読んだばかりだったのでおどろく。《文学好きなら大岡昇平埴谷雄高安部公房中上健次といった名だたる文士たちとの逸話にほくほくする筈(はず)だ。六回落選した芥川賞の裏話も面白い。》
 『君が異端だった頃』で、文士仲間の草野球でのエピソードがオモシロかった。
 編集者や文学者や作家が草野球をするのだが、昨年の夏に読んだ小説『猫の客』の筆者の平出隆さんへの人物評が戯画的に描かれて印象的だったからだ。『猫の客』で、シオカラトンボが左手の人差指に止まるシーンがあるのだが、野球もサウスポーなのだった。

 

君が異端だった頃

君が異端だった頃

  • 作者:島田 雅彦
  • 発売日: 2019/08/05
  • メディア: 単行本
 

 

 

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

  • 作者:平出 隆
  • 発売日: 2009/05/30
  • メディア: 文庫
 

 

アリ・スミス著『秋』

 サンシュユ(山茱萸)の花が咲いている。黄色の小さな花が密集して房のようになっている。枝に若葉はまだ出ていない。遠くから眺めると、明るい黄色に包まれて鮮やかだ。

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ミズキ科の落葉小高木。葉は楕円形。樹皮ははげやすい。早春、葉より先に黄色の小花を密につける。実は熟すと赤くなり、漢方で滋養強壮薬とする。朝鮮半島・中国の原産で、庭木にする。  『大辞泉

 新潮社のPR誌「波」3月号の新刊案内によると、木原善彦氏の翻訳でアリ・スミス著『秋』という本が出るようだ。
 《イギリス郊外のとある施設で眠る謎の老人と、彼を見舞う若い美術史家の女。二人はかつて隣人同士だった。EU離脱に揺れる中、それぞれの人生はイギリスの戦後史と重なりーー『両方になる』で読者を驚かせた著者による、奇想に満ちたポスト・ブレグジット小説。》

 

秋

 

 

犬が渡り椿がくぐり橋の昼

 紅色のヤブツバキの花が咲いていた。葉の縁(ふち)に小さなギザギザがある。葉に光沢がある常緑樹。

 

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 「流れゆく椿は曲り失せにけり」
 「犬が渡り椿がくぐり橋の昼」
 「籠り飛ぶ小鳥あるらし大椿」
 
 松本たかしの昭和十二年(1937年)の俳句です。

 最近、アルベール・カミュの小説『ペスト』のことを思い出します。
 フランスの植民地であったアルジェリアのオランを襲ったペストの話なのですが・・・。
 もう一つは、小松左京SF小説復活の日』ですね。

 

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

  • 作者:カミュ
  • 発売日: 1969/10/30
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 

復活の日 (角川文庫)

復活の日 (角川文庫)

  • 作者:小松 左京
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 文庫
 

 

雑誌から

 先月、「サンデー毎日」1月26日号に、坪内祐三さんの連載「テレビもあるでよ」を見たときに、「今週の新刊」(岡崎武志)で、筆者の岡崎さんが高崎俊夫・朝倉史明編『芦川いづみ』という本を紹介していました。その岡崎武志さんの紹介文に注目しました。
 講談社文芸文庫に、石坂洋次郎著『乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選』が「本」2月号の広告で掲載されていました。
 「乳母車」といえば、田坂具隆(ともたか)監督の映画『乳母車』(1956年、日活)を思い出します。この映画に芦川いづみが出演しているのです。他の出演者は、石原裕次郎新珠三千代宇野重吉、山根寿子、中原早苗であります。
 この2月号に、三浦雅士さんの「石坂洋次郎フェミニズム」というタイトルのエッセイがありました。
 冒頭の一部を引用してみます。
 《題して『石坂洋次郎の逆襲』。近刊拙著の表題だが、逆襲というのは、明朗健全なエンターテインメント、いずれ忘れ去られるべき流行作家といったこれまでのレッテルを剥ぎ取ってみれば、石坂ほど危険で反抗的で反権力的な作家はいないという意味である。》

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000333452

 

芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く

芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く

  • 発売日: 2019/12/09
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

石坂洋次郎の逆襲

石坂洋次郎の逆襲

  • 作者:三浦 雅士
  • 発売日: 2020/01/30
  • メディア: 単行本