植木を刈り込むとアヤメが咲いていた

アヤメ

 頼まれていた植木を刈り込む。若葉が伸びて鬱蒼となっていた枝が取り払われると軽くなったようだ。庭の片隅に一輪の花が、おや、アヤメだ。ひとり静かに咲いている。花言葉は「神秘的な人」だそうです。

 向うの家ではたおやめが横になり
 女同士で碁をうつている
 ふところから手を出して考えている
 われわれ哲学者はこわれた水車の前で
 ツツジとアヤメをもつて記念の
 写真をうつして又お湯にはいり
 それから河骨のような酒をついで
 夜中幾何学的な思考にひたつたのだ

 西脇順三郎の『近代の寓話』の冒頭にある「近代の寓話」の一節。