ラジオのFMちゅーピー(76.6MHz)の番組「新藤兼人 百年の軌跡」を聴く。
監督作品49本をすべて紹介する番組である。
今夜は、1958年製作『悲しみは女だけに』が紹介される。監督・脚本、新藤兼人。
出演は田中絹代、京マチ子、宇野重吉、小沢栄太郎、望月優子、杉村春子、水戸光子、乙羽信子、船越英二、他です。
最初劇団民芸のために書いた戯曲舞台のお芝居だったんですけれど、それをまた映画にしたという作品。
自分自身の家族を描いているんですが、出演者が豪華なキャストで作られた。
女優陣が豪華だったと、ご自分で、そう書かれている。
自分自身やそれから家族のことをテーマにした映画を撮られていますが、この『悲しみは女だけに』は、新藤さんの家族をモデルにした映画で、新藤監督のお家(うち)は、石内にあって、もともとは裕福だったそうなんですけれども、お父さんが連帯保証が原因で家が傾いていくというか没落して行くわけなんですが、そのときに、一家の苦しい状況を救うためにですね、お姉さんがアメリカ移民に嫁(とつ)いで、カリフォルニアに渡って行くわけなんですね。
そのお姉さんとか、それから当時お兄さんがその後、尾道に住んでらっしゃたそうなんですけれども、そのお兄さんとか、まあ、新藤監督の家族のことをモデルにした映画で、アメリカに移民として渡っていたお姉さんが三十年ぶりに日本に帰って来て、そのお姉さんを迎えるために、尾道にいるお兄さんの家に兄弟とかですね、甥(おい)とか姪(めい)とか親戚が集まって来る。
みんなお姉さんがアメリカで成功したっていうことを聞いているものですから、お姉さんの金といいますか財力をそれぞれ当てにして、それぞれ集まって来て、そこで家族の葛藤が起きるというお話なわけです。
田中絹代さんが三十年ぶりに日本に戻ったお姉さんを演じている。
これほど自分のことや家族のことを描いた監督はいないですよね。
今回この番組では監督した作品だけを取り上げていますけど、脚本家としての作品も沢山ありますね。
(解説・佐藤武。聞き手・シネマ・エッセイスト・鈴木由貴子。)