ラリーサ・シェピチコ監督の映画『処刑の丘』


 5日、「ロシア・ソビエト映画特集」で、ラリーサ・シェピチコ監督の映画『処刑の丘』(1976年、110分、カラー)が上映される。
 出演は、ボリス・プロートニコフ、ウラジーミル・ゴスチューヒン、アナトリー・ソロニーツィン。
 特集のパンフレットより引用。
 1942年の冬、ドイツ軍に追撃されたパルチザン部隊の2人の兵士は食料の調達に奔走する。が、ドイツ軍に発見され連行されてしまう・・・。敵に占領された戦場を舞台に対照的な2人の兵士の内面的な葛藤を描く。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
 冒頭、一面が雪に覆われた森の中をドイツ軍に追われて撤退するパルチザン部隊。
 部隊の食料調達に森の中から近隣の村へ食料調達に二人で行くように命令された。
 リューバク(ウラジーミル・ゴスチューヒン)とソトニコフ(ボリス・プロートニコフ)の二人で行くことになる。道中、病気のソトニコフは咳を時々している。
 夜間、ドイツ軍と遭遇して銃撃戦になった。たがいに撤退した。
 リューバクにとってソトニコフは足手まといになるのだが、翌朝、結局二人で村の一軒に押し入った。
 子どもだけが家にいたが、子どもの母親の農婦が外から戻って来た。
 その時に不意にドイツ軍が味方のドイツ兵が一人死んだので村へ捜索にやって来た。
 屋根裏へ二人は隠れたのだったが、ソトニコフが咳をしたためにドイツ軍に見つかり捕まって、ドイツ軍の捕虜収容所に入れられた。
 収容所にはドイツ軍への協力者のポルトノフ(アナトリー・ソロニーツィン)がいた。
 彼はパルチザン部隊の所在地を知るためにソトニコフに拷問と尋問をした。
 情報を知らせば命を助けて仲間にしてやると交換条件を持ち出した。
 ポルトノフは元は教師をしていた男で、ユダヤ人の教え子の少女や村長、リューバクとソトニコフをかくまった農婦などへ情け容赦なく尋問した。
 ところが、リューバクはソトニコフが拷問でボロボロになったのを見て、死にたくないと裏切ってパルチザン部隊の情報をドイツ軍に教えてしまう。
 リューバクはソトニコフへ、裏切っても生きる事が大事だと言い、死んでは無意味だと説得するが、ソトニコフは裏切りは信念に反するといって丘の上の処刑場へ向かうのだった。
 次第にそのソトニコフの言説がゴルゴダの丘のキリストのように思われてくる。
 見るものにキリストの受難劇を思わせる戦争ドラマ。
 生きるか死ぬか激しい葛藤を演じるソトニコフ役のボリス・プロートニコフが深く印象に残った。
 名優である。
 ラリーサ・シェピチコ監督にも注目!