志村三代子著『映画人・菊池寛』のこと

 8月の新刊で、志村三代子著『映画人・菊池寛』をめぐり藤原書店のPR誌「機」8月号で、編集部・構成による志村三代子さんの刊行に寄せた文に注目しました。

 一九二〇〜四〇年代、「メディア・ミックス」仕掛け人として大活躍した菊池寛とは何者か? 
 「文壇人菊池寛は、映画人でもあった!」というタイトルで、菊池寛と映画というメディアについて語っています。

 《よく知られているように、一九二六年末にはじまった円本ブームによる出版業界の好況は、出版社の企業化を加速させ、多額の印税を手にした流行作家の誕生を促した。このような円本ブームに加え、一九二〇年代中頃は、新聞発行部数の大幅増、ラジオ放送の開始(一九二五年)、『週刊朝日』『サンデー毎日』などの雑誌の創刊ラッシュに続き、これらのメディアを大量に消費する「大衆」という新たな階層が登場することによって、メディアの一大転換が促された時期であった。映画産業は、雑誌や新聞に連載された文芸作品を映画化した「文芸映画」を積極的に製作し、さらにラジオ等の周辺メディアを広告として媒介させたメディア・ミックスを進めることで、市場規模では出版産業を圧倒した。とりわけ菊池寛原作の文芸映画は、その人気の高さから「菊池もの」と呼ばれるほど、他の作家たちの映画化作品に抜きん出た「商品」であった。》  「機」11〜12ページ
 

 参照:『映画人・菊池寛http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1334

映画人・菊池寛

映画人・菊池寛