今、手もとにあるリチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』は、Dell Publishingのペーパーバックで、1976年5月の5版である。
藤本和子訳の『アメリカの鱒釣り』(晶文社)は、1975年1月初版だ。
最初に読んだのは、晶文社版の『アメリカの鱒釣り』だった。そこで、藤本和子の訳者あとがき「鯨が生んだ鱒」というブローティガンをめぐっての文に引き込まれてしまった。いつの間にか、丸善でブローティガンのペーパーバックを探し求める日々が始まった。
その頃の丸善では、ペーパーバックのブローティガンの詩集は、割と簡単に見つけられた。
RONMMEL DRIVES ON DEEP INTO EGYPT
THE PILL VERSUS THE SPRINGHILL MINE DISASTER
値段が、それぞれ95セントと1ドル25セントとペーパーバックの表紙に記載されている。
今では、ずいぶん安いなと思われるかもしれないが、当時は丸善で、1ドル=460円で計算して値段を付けていた。紀伊国屋書店でも同じようなレートで値を付けていたものだった。