追悼・永島慎二の世界と『のんき新聞』

池のカエル

早朝のアサガオを見るのは気持がいい。蔓(つる)が上へ高く伸びている。紫のアサガオの花がその蔓にとびとびに咲いている。
 正午過ぎに通りでトンボの群れが、そばに近寄って来た。2メートルくらいの高さをすいすい飛んでいる。アカトンボのように見えるけど赤くはないので、ウスバキトンボかもしれない。空中を飛行していて止まったりしそうにないので見分けがむつかしい。
 日中は快晴で熱い陽射しの日だった。夕方に薄曇りになる。
 夏至の頃から観察している公園の池へ寄り道する。
 ハスの花のつぼみが一輪、水面からまっすぐに伸びていた。池の縁からすぐそばに生えているので、手に取ってみた。握りこぶしほどの大きさ。白にピンクの色が混じったつぼみだった。
 カエルは水中にもぐっているものや、睡蓮の葉に座っていたり、コンクリートの池の縁にも数匹いた。だが、鳴き声はしていなくて静かだった。しばらくして、睡蓮とハスの密集した水面あたりでカエルの鳴き声があった。
 
 帰ってみると、『のんき新聞』10号が届いていた。
 のんき新聞はマンガ家の勝川克志新津英夫のお二人が発行している「ミニコミ」で、永島慎二さんが亡くなったことが、この7月に発表されたことを受けて、急いで追悼号として発行されたものだ。
 編集後記にあるように、「今号は急きょ永島さんの特集にしまして、関連した話を書いてもらいましたら、原稿が沢山集まり、ビックリ! みんなもう永島さんの事を知らないんじゃないかなと、思ってたんで・・。嬉しかったです。」(勝川克志
 永島慎二さんの作品との出会いとその思い出、永島慎二さんとお会いしたことがある人の回想などが、『のんき新聞』に載っている。
 7月に亡くなられた杉浦日向子さんについても、高橋千代さんという方が「杉浦日向子さんを偲ぶ」という思い出を書かれている。
 杉浦日向子さんが連載の仕事が増えた頃の話で、一日アシスタント体験記と杉浦日向子さんがその日に語られた「漫画はあと数年描いたらやめる」ということなど。
 実は、『のんき新聞』10号へ、私も「永島慎二さんの思い出」のコーナーで短い「思い出」の文を寄稿しています。読んでみたいなという方は、『のんき新聞』へ問い合わせてください。
 
 『ユリイカ』2005年8月号、「特集・雑誌の黄金時代」で、四方田犬彦坪内祐三の対談、「雑文家渡世」を読む。杉浦日向子のデビュー作は、『ガロ』1980年11月号。その『ガロ』に四方田犬彦は、「犬も歩けば」という日記を連載していたことがあった。
 永島慎二さんも『ガロ』に作品を載せたり、表紙にピエロの絵を描いていた時期があった。

 四方田 しかし10年も日記を連載し続けられたのは、『ガロ』って雑誌があったからこそです。『ガロ』も結局は長井勝一さん一代の雑誌でした。いま、そんな媒体はないですよ。  46頁