「フランス映画特集 アキム・コレクションより」、ジョセフ・ロージー監督の『エヴァの匂い』(1962年、フランス、112分、白黒)を映像文化ライブラリーで観る。観客は30人ほど。
冒頭、ベネチア(ベニス)の風景から始まる。
場面は切り替わってベネチア映画祭の光景になる。
ウェールズの元抗夫出身の作家ティヴィアン(スタンリー・ベイカー)は、フランチェスカ(ヴィルナ・リージ)という婚約者がいる。
作家として成功してベネチアのトルチェッロ島に別荘を持っている。
ある雨の強い夜、ボートが故障してトルチェッロ島に緊急避難する。
上陸した男と女の二人連れが、ティヴィアンの別荘を見つけ、勝手に入り込んでしまう。
空き家だと思っていた二人だが、ティヴィアンが突然に帰宅して来たのだった。
そのときの女がエヴァ(ジャンヌ・モロー)である。
ティヴィアンは、この出会いでエヴァを知り、フランチェスカのことを忘れたかのようにエヴァに溺れてゆく。
ベネチアとローマ、そしてトルチェッロ島を舞台に繰り広げられるティヴィアンとエヴァ、そしてフランチェスカとの間での魅入られたような葛藤の心理劇が展開される。
最後に、フランチェスカの死を暗示するゴンドラで棺が運ばれて行くシーンがある。
それから、サンマルコ広場だろうか、エヴァがある男とギリシャに行って来るという場面でFINになった。
音楽はミシェル・ルグラン。映画のなかで、エヴァがかけるレコードで、ビリー・ホリデイの歌声が流れるシーンが何度も繰り返してあるのだが、このシーンは忘れがたい。
見終わった後、『エヴァの匂い』をめぐって、福岡からのYさんがミシェル・シマンの『追放された魂の物語 映画監督ジョセフ・ロージー』(中田秀夫・志水賢訳 、日本テレビ)をカバンから取り出して、この映画の結末がロージー監督の意図とは違ったものになった事情を語る。
ロージー監督がプロデューサーのアキム兄弟との確執と失望を語っているという。

- 作者: ミシェルシマン,Michel Ciment,中田秀夫,志水賢
- 出版社/メーカー: 日本テレビ放送網
- 発売日: 1996/05
- メディア: 単行本
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