ジャン・ルノワール監督の『フレンチ・カンカン』

フレンチ・カンカン

 「フランス映画特集 黄金期の作品たち」からジャン・ルノワール監督の『フレンチ・カンカン』(1954年、フランス、105分、カラー)を観る。朝の部で中高年の観客が多い。
 パンフレットに、

J・ルノワール監督によるオペレッタ。19世紀末、パリで上流向けのクラブを営んでいたダングラールは、下町のキャバレーで見初めた踊り子に触発され、新しいショウを見せる娯楽の殿堂にしようと画策する。

 フレンチ・カンカンムーラン・ルージュの誕生物語、その舞台裏の物語。興行主のダングラールをジャン・ギャバンが渋く好演。ダングラールをめぐる女たちの恋や嫉妬と確執は凄まじい。彼女たちの喧嘩が派手で、観ていてひやひやする。難航した建て替えたムーラン・ルージュの建物が出来、初めての興行日にカンカン踊りが始まるや、スクリーンにあふれ出る勢いでの熱狂的な踊りに目を奪われる。そして、なぜか観ていて涙腺がゆるむのだった。エディット・ピアフら歌手の歌も味わえる。
 冒頭のクレジットがポスター絵を背景にしてでるのだが、その絵の色彩が美しいこと。
 映画でもその色彩感覚が失われずにスクリーンに生き生きしている。