池部良さんのこと

 晴天がつづく。夏には見られなかった、さざなみのように広がる鰯雲(いわしぐも)が眺められた。日中は27℃もあり汗ばむ。金木犀の香りがこの秋初めて漂っているのに気づく。
 10月8日は、二十四節気のひとつ寒露であった。
 「昼中の残暑にかはる夜寒かな」、明治26年の子規の句である。
 俳優・池部良さんの死去をテレビのニュースで知った。
 池部良さんといえば、一年ほど前に観た谷口千吉監督の映画『暁の脱走』が思い出される。中国戦線で、内地からの慰問団の歌手の晴美(山口淑子)と三上上等兵池部良)との悲恋映画である。
 三上の上官の副官を小沢栄(小沢栄太郎)が演じていて、ラストの機関銃を撃ちまくるその悪役ぶりに身震いした。印象に残る映画で、撮影が三村明、脚本は谷口千吉黒澤明の共同脚本。美術やキャメラマンの三村明らの撮影技術に注目した。
 参照:映画『暁の脱走』http://d.hatena.ne.jp/kurisu2/20091126