抜き残す赤蕪いくつ余寒哉


 快晴で、朝の最低気温が1℃、最高気温は11℃であった。乾燥している。
 公園の梅が咲きはじめた。99パーセントは、まだつぼみである。
 1パーセントの梅の枝を引き寄せて花の香りをかぐと、いいにおいがした。
 
 「抜き残す赤蕪いくつ余寒哉
 「春寒き小包解けば和布(わかめ)かな
 「春寒やのび損ねたる日陰独活

 芥川龍之介大正九年の俳句である。
 「抜き残す赤蕪いくつ余寒哉」の句には、つぎのような前書きがある。
 「句にして曰〔滝田樗陰へ文章訂正を申し送った末尾に〕」
 二句目の「春寒き小包解けば和布(わかめ)かな」の前書きは、「和布難有う 即興 菅忠雄に」とあるので、菅忠雄から小包で和布(わかめ)が届いた時の句でしょうか。
 三句目の前書きは「即興」とあります。
 日陰独活の独活(うど)とは、
 

ウコギ科多年草。山野に生え、高さ約一・五メートル。茎は太く、葉は羽状複葉で、互生する。夏、薄緑色の雄花と雌花とが球状につく。若芽は柔らかく、香りがあり、食用。栽培もされる。 
 独活の大木(たいぼく)《ウドの茎は木のように長くなるが、柔らかくて材としては使えないところから》からだばかり大きくて役に立たない人のたとえ。  『大辞泉