近藤富枝著『大本営発表のマイク』のこと


 夕方、南の空に上弦の月が眺められた。
 今年(2013年)は中秋の名月が19日である。
 先日、日当たりの良い道端にエノコログサが群生していた。
 この草の特徴として、穂が犬の尻尾にちょっと似ている。漢字で狗尾草と書く。
 よく見ると穂の中に一匹のアリが潜(もぐ)り込んでいた。
 穂は緑色をしている。
 

イネ科の一年草。路傍や空き地の至る所にみられ、高さ四〇〜七〇センチ。葉は細長く、先がとがる。夏、茎の頂に円柱状の太い緑色の穂を一本出し、子犬の尾に似る。ねこじゃらし。  『大辞泉』 

 8月の新刊で近藤富枝著『大本営発表のマイク』を読む。
 サブタイトルが「私の十五年戦争」。
 1931年から1945年に至る十五年間、著者の近藤富枝さんの九歳から二十三歳までの自伝的な回顧録である。

  目次、
 一章 昭和ノスタルジー
 二章 戦争の足音
 三章 女学生の日々
 四章 東京女子大学の人々
 五章 芝居への想い
 六章 美への旅
 七章 文部省時代――悪化する戦局
 八章 アナウンサーに
 九章 大空襲
 十章 大本営発表
 十一章 終戦
 十二章 戦争は終わったけれど
 あとがき
 追記――十五年戦争とは
 主要参考文献