鈴木清順監督の映画『殺しの烙印』

 日活映画特集の後半となる今月は、坂本九のヒット曲に乗せて若者たちの生き方を描く「上を向いて歩こう」、加賀まりこの魅力が際立つ「月曜日のユカ」、今村昌平監督が女性の強い生命力に迫った「赤い殺意」、鈴木清順監督が独特の演出で殺し屋たちの闘いを描く「殺しの烙印」、戦争にのみこまれていく人々の運命を壮大なスケールで描いた「戦争と人間」三部作などを上映します。(特集パンフレットより)

 2月に上映の一本。
 鈴木清順監督の映画『殺しの烙印』(1967年、日活、97分、白黒)を鑑賞する。
 
 出演は、宍戸錠、小川万里子、真理アンヌ、南原宏治。音楽は山本直純である。
 特集パンフレットより。
 プロの殺し屋の中でNo.3にランクされる花田五郎は、4人を殺す依頼を受ける。次々とターゲットを消していく花田だったが、最後の一人を逃がしてしまう。非情な組織は、女殺し屋・美沙子を花田に差し向ける・・・。No.1の座を争う殺し屋たちの死闘をスリリングに描く。(フィルム提供/日活)

 宍戸錠が殺し屋の主人公の花田五郎を演じている。
 宍戸錠が演じる殺し屋は、炊飯器で炊(た)き上がったご飯の匂いを嗅ぎ、その匂いに酔いしれる。
 殺し屋であるが、炊飯器の炊き立てのご飯の匂いに夢見心地(ごこち)になる性癖がある。
 ご飯の匂いを偏愛する殺し屋! このキャラクターが面白い。
 しかし、殺し屋として依頼された仕事も次々とこなしてゆくのだったが・・・。
 4人目のターゲットは撃ち損じて失敗してしまう。
 失敗は組織では許されなく、組織から逆に命を狙われてしまうことになるのだった。
 差し向けられた女殺し屋の美沙子(真理アンヌ)、妻(小川万里子)も五郎が家に帰ると自分の命を狙う殺し屋に豹変した。五郎は美沙子のところへ逃げ込んだ。
 だが、美沙子は五郎をどうしても殺すことが出来なかった。それゆえに組織に殺されてしまう。
 最後は、五郎はナンバー1の殺し屋(南原宏治)との対決になる・・・。

 自動車の下に隠れて匍匐前進(ほふくぜんしん)をしての死闘、廃屋(はいおく)の砦(とりで)から銃撃して来る殺し屋たちに応戦する銃撃戦などのアクションシーンも印象的だ。

 『殺しの烙印』という映画は『ツィゴイネルワイゼン』を思い起こさせてくれた。
  
  
 宍戸錠の後左が真理アンヌ、後右が小川万里子。