戦争終りたゞ雷鳴の日なりけり

 中村草田男の句集「来し方行方」を読んでいる。
 昭和二十年の句に、「終戦の大詔を拝したる日、及びそれにつぐ日日、 六句」という前書きのある句がある。
 終戦の大詔を拝したる日とは、八月十五日、それにつぐ日々を中村草田男は詠んでいる。
 
 烈日の光と涙降りそゝぐ
 切株に据し蘖(ひこばえ)に涙濺(そそ)ぐ
 空手(くうしゅ)に拭く涙三日や暑気(しょき)下し
 戦争終りたゞ雷鳴の日なりけり
 陽が欲しや戦後まどかな月浴びつゝ
 夜長し四十路かすかなすはりだこ