雲の峰雷を封じて聳(そび)えけり

 先日、シオカラトンボを水辺に見かけた。
 夏至から土用の過ぎまでの頃は、クロイトトンボシオカラトンボ、チョウトンボなどが水辺に多数飛び回っている。

トンボ科の昆虫。中形でもっとも普通のトンボ。四〜九月に現れ、成熟した雄は腹に青白粉を装う。雌は淡黄褐色でムギワラトンボという。  『大辞泉

 「引窓(ひきまど)をからりと空の明けやすき
 「雲の峰雷を封じて聳(そび)えけり
 夏目漱石の明治三十六年(1903年)の俳句である。
 漱石は、この年一月に帰国した。

 

 「大特集・没後50年 谷崎潤一郎の愉楽 」の「文學界」8月号で、「書くことの幸福」(金井美恵子)の他に、島田雅彦の「徘徊老人日記」(「瘋癲老人日記」より)が愉しめた。

 谷崎潤一郎へ敬意をこめて五人の作家が、谷崎の作品を念頭に置きながら作品を書いている。
 島田雅彦小山田浩子羽田圭介山崎ナオコーラ、松田青子。 
 「瘋癲老人日記」まで、と題した小林信彦の特別エッセイも収録されている。
 山田詠美×川上弘美の「わたしたちの好きな谷崎」というタイトルでの対談も注目。