沸きし湯に切り先青き菖蒲かな


 快晴。タンポポの花が綿毛になっている。
 風が吹くと、綿毛のついた種は大空へ飛んでゆく。
 五月五日の節句の日は菖蒲湯(しょうぶゆ)の日でした。
 菖蒲湯の匂いは独特のものですね。


 「わが影のはや添ふ菖蒲葺(ふ)きにけり
 「髪を結ふ白き腕や軒菖蒲
 「沸きし湯に切り先青き菖蒲かな
 「菖蒲湯を拭ひもあへず出づ子等と


 中村汀女の俳句で、昭和十四年(1939年)の句です。*1

*1:当時、世田谷の北澤に居があった。