書評から

 「出版ニュース」2016年11月下旬号を手にとってみた。
 「ブックハンティング2016」に齋藤愼爾氏が、佐久間文子著『「文藝」戦後文学史』の書評を書いている。

 最後に、興味深いエピソードが語られていました。

 

 かつて澁澤龍彦氏に「最も愛する短篇は?」と訊ねたら、すぐ書棚から、「文藝」(昭和二十四年五月号)を取り出して示した。[特集・新しい小説]の一篇。「悪魔とピアノを連弾した大学生」(上林澄雄)。「この小説を種村季弘も松山俊太郎も一番愛しているんだ」と澁澤氏。作者の加筆訂正したのを所蔵している。出版すると約束して四十年余になる。もういかなることがあろうと、年末までには出したい。 29ページ *1

*1:引用文の澁澤龍彦氏の彦は、旧字で書かれている。