2016年の「この3冊」から

 毎日新聞の日曜版の「今週の本棚」に、書評執筆陣が選んだ2016年の「この3冊」が掲載されている。
 どんな本が挙げられているのかな。
 鴻巣友季子氏が選んだ三冊のうちの一冊が、長嶋有の小説『三の隣は五号室』であった。
 中央公論新社の文芸誌「アンデル」の創刊号から連載されていた小説で、毎回愉しみだった。
 
 昭和の高度成長期に建てられた第一藤岡荘五号室が「主人公」といえる小説で、昭和から平成と移り変わる世相が五号室に入居した住人の残した部屋の痕跡から語られる。
 この部屋の痕跡が細部にわたり描写されていて忘れられない作品だ。