マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『レステロの老人』

 「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」から遺作になった作品と監督第一作を観た。

 『レステロの老人』(2014年、19分、カラー、Bru-ray、日本語字幕)と『アニキ・ボボ』(1942年、71分、白黒、35ミリ、日本語字幕)の二本である。
 
 『レステロの老人』O Velho do Restelo
 
 

ポルトガル大航海時代を詠った国民詩人カモンイズ、「ドン・キホーテ」の作者セルバンテス、『破滅の愛』の原作者である19世紀ポルトガル・ロマン派の小説家カステロ・ブランコ、20世紀初頭の詩人パスコアイス、4人の文学者がポルトガルの過去と未来について語り合う。タイトルである“レステロの老人”は、大航海時代の栄光に異を唱える人物として、カモンイズの詩『ウズ・ルジアダス』の中に登場する。

 
 出演、ルイズ・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ、ディオゴドーリア

 短篇映画だが、狂気の騎士ドン・キホーテが風車へ突進して行き、風車に引っかかり風車の羽とともに回転するシーンが凄い。騎士軍団の大軍が整列し進軍するシーンは壮観な眺めだ。大掛かりな撮影をしていた。
 冒頭からラストまで、四人の文学者がポルトガルの歴史をめぐって文明論的な議論をする。