十薬の花に涼むや楽屋裏

f:id:kurisu2:20200523155907j:plain

 ドクダミの白い十字形が目立つ季節になりました。葉を千切ると独特の匂いがします。この時期は繁茂した姿を見ることができます。

 ドクダミ科の多年草。日陰の湿地に生え、高さ一五~三五センチ。全体に悪臭がある。葉は広卵形。夏、淡黄色の小花を穂状につけ、その基部に白い苞(ほう)が十字形につき、花びらのように見える。整腸・解毒・利尿などの民間薬として用いる。十薬(じゅうやく)。  『大辞泉

 

 「十薬の花に涼むや楽屋裏」 

 昭和十三年(1938年)の松本たかしの俳句です。

 

 久しぶりに書店へ。2020年11出版社共同復刊24の「書物復権」という小冊子を入手しました。復刊リクエスト本を元に決定した書籍は五月下旬より全国約200の協力書店店頭にて展示される予定という。小冊子に「書物と食物」という藤原辰史氏の文が掲載されていて、書物と食物の味わいをめぐって論じている。
 箱入りの本、薄めの文庫本、ドストエフスキーフーコードゥルーズ丸山眞男夏目漱石藤田省三の本などの味わいを食物の比喩で語っています。
 ドストエフスキーは、《札幌ラーメンの濃厚な味噌とコーンとバターの味がするし、フーコークリーミーなフレンチのコースにデザートを食べた満腹感に襲われ、ドゥルーズはカラフルで新鮮で多種類の野菜のサラダの茎が喉に刺さるし、丸山眞男は、洋食屋でナイフとフォークでエビフライとハンバーグを食べたような気持ちになり、夏目漱石藤田省三はざるそばを啜ったあとの喉越しが残る。》

 

www.kinokuniya.co.jp