「ちくま」11月号の連載〈些事にこだわり〉28(蓮實重彦)のタイトルは、
「ニューヨークから届いた不意の鄭重な歓迎の言葉に、おいそれとは乗ることのない自分自身へのこだわりについて」
《ハリウッドの優れた監督の一人だとわたくしが高く評価しておりながら、合衆国ではいまだ低い地位におさまっているリチャード・フライシャー》の『自伝』の原題が、『泣くときはそうとご指示くださいな』と訳すべきそのセリフをフライシャーに口にした女優のシルヴィア・シドニーのエピソードを書いている。
シルヴィア・シドニーとリチャード・フライシャーの二人だけが体験しえた、ハリウッド映画をめぐるもっとも美しいエピソードではないか、と云う。
一九三〇年代から四〇年代に君臨した大女優。
「フリッツ・ラング監督特集」で鑑賞した作品に、『暗黒街の弾痕』(1937年、アメリカ、86分、白黒)があった。
ヘンリー・フォンダと共演した作品で上映時間86分!
第28回・ニューヨークから届いた不意の鄭重な歓迎の言葉に、おいそれとは乗ることのない自分自身へのこだわりについて|webちくま(筑摩書房の読みものサイト)