コロナの時代の僕ら

 外出自粛でラジオを聴く時間が増えている。

 先月から毎週、夜開く学校の「高橋源一郎飛ぶ教室」を聴いている。前半の「秘密の本棚」では、イタリアに在住の作家パオロ・ジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』というエッセイが紹介された。

 「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」
 『コロナの時代の僕ら』著者あとがき

www.hayakawabooks.com

 後半は詩人の伊藤比呂美さんによる電話による音声での放送。リスナーからの人生相談に伊藤比呂美さんと高橋源一郎さんが回答するのだった。
 コロナ後の世界について、元に戻らないもの、元に戻ったほうがいいもの、今は時間がたくさんありますから新しい時間秩序を考える時間ではないか、と様々な意見が述べられる。

 

コロナの時代の僕ら

コロナの時代の僕ら

 

 

「飛ぶ教室」の課外授業

 NHKラジオの「高橋源一郎飛ぶ教室」で、「課外授業 みんなの読書感想文」を聴いた。

 前半は、夏目漱石の『こころ』をめぐってリスナー(ラジオの聴取者)からの読書感想文が朗読された。そのあとに、ゲストの小説家の島田雅彦さんが漱石の『こころ』について持論を展開する。

 前半が50分、後半が50分の特別番組で、後半は、課題図書が、太宰治の『人間失格』。この文学作品をめぐってリスナーからの読書感想文の朗読とゲストの能町みね子さんが語る。ゲストによる解釈と高橋源一郎の解釈など興味深かった。この作品をリスナーが読み解いた感想文も興味深い。出演者の様々な解釈も聴きどころだった。

 前半、漱石の『こころ』から島田雅彦の『彼岸先生』に高橋さんが言及する場面あり。

 多様性を秘めている漱石文学をめぐる議論(談話)が楽しめた。
 後半は、太宰治の『人間失格』をめぐってリスナーの感想、ゲストの感想、それらをまとめるように高橋源一郎の太宰の作品の現代性、喜劇的な側面を語って今回の100分の放送が終わった。

参照:『こころ』http://aozora.binb.jp/reader/main.html?cid=773


人間失格http://aozora.binb.jp/reader/main.html?cid=301

 

 

漱石を書く (岩波新書)

漱石を書く (岩波新書)

  • 作者:島田 雅彦
  • 発売日: 2002/07/18
  • メディア: 新書
 

 

 

彼岸先生 (新潮文庫)

彼岸先生 (新潮文庫)

 

 

 

乾いた笑い

 新潮社のPR誌『波』5月号に、「追悼 志村けんさん・宍戸錠さん」と題して小林信彦さんの文章が掲載されていた。「『決定版 日本の喜劇人』最終章・改――高度成長のあと」と「追悼宍戸錠さん」名評論再録。後者は、『日本の喜劇人』第六章より再録、タイトルは「醒めた道化師の世界」日活活劇の周辺。

 宍戸錠といえば、鈴木清順監督の映画『殺しの烙印』(1967年、日活)で殺し屋を演じた宍戸錠が電気炊飯器の炊きあがったご飯の匂いに酔いしれるシーンが可笑しくて笑ったことであった。「追悼宍戸錠さん」名評論再録から一部引用すると、

 《学生生活二年で、彼は日活のニューフェースとなる。昭和二十九年、日活が映画制作を再開した年である。

 以後、宍戸錠は、つねに、フィルムのなかで、そのユニークな個性と乾いた笑いを開拓しつづける。》

カフカのおかしさ

 白水社のPR誌の「パブリッシャーズ・レビュー 白水社の本棚」2020年春号が先日届いた。「編集メモ」に、丸四年担当した雑誌『ふらんす』をこの春卒業したという編集者のM氏の記事があり、池内紀さんに単行本の企画があったらしい。《池内さんとは、この先、単行本『カフカの夢』の企画が控えていた・・・・・・。》とあった。さて、どんな企画だったのだろうか。

 参照:講演「カフカのおかしさ」

www.youtube.com

袷着て山吹が散るつつじが散る

 さやさやと風が吹く。乾いた風にツツジの花が満開で揺れている。

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 「男より高き背丈や初袷(あわせ)」

 「袷着て山吹が散るつつじが散る」

 中村汀女の昭和十五年(1940年)の俳句です。

 

 新潮社の『波』3月号より短期集中連載、小林信彦『決定版日本の喜劇人』最終章・改が連載されている。今月、「週刊文春」連載コラム「本音を申せば」をまとめての新刊が出るようだ。タイトルは、『また、本音を申せば』(文藝春秋 )。

 

books.bunshun.jp

 

また、本音を申せば

また、本音を申せば

 

 

 

島田雅彦の「文学さんぽのすすめ」

 土曜の朝のNHKラジオの番組の土曜さんぽに、島田雅彦の「文学さんぽのすすめ」を放送。最近、『アミダクジ式ゴトウメイセイ 対談篇』は後藤明生の対談を収録した対談本であるが、島田雅彦との対談で二人の語るロシア文学の話が興味深かった。ラジオの放送はドストエフスキーの『罪と罰』の舞台になった都市サンクトペテルブルクを語っていた。

 

www.hanmoto.com

 

飛ぶ教室を聴く

 NHKラジオの夜の番組で「高橋源一郎飛ぶ教室」を聴いた。おススメの一冊は荒川洋治の『霧中の読書』で、みすず書房の本ですね。後半はゲストの詩人の伊藤比呂美 さんの近況(主に読書生活について)と人生相談が放送された。前半と後半のつなぎに、エロル・ガーナーのミスティの曲が放送される。

search.yahoo.co.jp

 

霧中の読書

霧中の読書

  • 作者:荒川 洋治
  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: 単行本