川を渡る途中で上から眺めると、水面で魚が跳ねていた。
一匹、二匹。しばらくしてもう一匹、川の魚が空気中へ身を乗り出している。
ちょうど人類が地球から月へロケットで飛んで行くときのことを連想した。映画『2001年宇宙の旅』の冒頭の猿人が空へ骨を放り投げるシーンを、なぜかこの魚の水の中から空気中へ跳ね上がっている姿に重ね合わせて見た。
スタンリー・キューブリックが監督した『2001年宇宙の旅』は劇場で観た。もう一度観てもいい映画かな。
柴田元幸が翻訳しているチャールズ・ブコウスキーの『パルプ』(新潮文庫)を古本屋で見つけた。柴田元幸の「訳者のあとがき」の後に、安原顯の「ブコウスキーの遺作にして最高傑作」という文があり、
作家の川上弘美さんは、年に一度、必ず読み返す本が何種類もあるそうだ。
と書き始める。
(中略)とはいえぼくも年に一度、必ず読み返す本が一冊だけある。ブコウスキーの『パルプ』だ。嘘っぽく聞こえるだろうが本当の話である。 287頁