鉄道と日本人、線路はつづくよ

 ユリイカの2004年6月号は、特集が「鉄道と日本人」。鉄道はどこへゆくのか、というタイトルで原武史関川夏央の対談が読ませる。副題が地方から見るとなっていて、1872年の鉄道開業から130年後の今日までの歴史的に見た鉄道事情が地方から見るとどうなっているかを論じている。天皇と鉄道のからみ、歴史的に見た九州鉄道事情、鉄道を取りまく政治、経済、思想について語られている。原武史さんのJR東日本の仙台駅とJR西日本の広島駅を比較して述べられている箇所に、うんうんそうだよねと妙に納得した。

 原 (中略)結局、仙台というのはJR東日本の駅だし、東京をモデルにしているんですね。それは郡山や高崎なども同じです。ところが広島は、新幹線は作るけれども、あくまでも裏手にしておいて、在来線のホームや駅舎全体の構造は変えていない。結果的に、あまり段差がない、現代風にいえばバリアフリーの駅になっているわけです。どっちが客のためになっているのかとふと思ってしまいますよね。
 関川 東日本はだめだなあ。考えがまるで違うみたいですね。
                       112頁

 
 他には、原口隆行の「鉄道に惚れた作家の系譜」で、内田百輭阿川弘之宮脇俊三といった鉄道に惚れた人たちの文学の系譜をたどり、鉄道趣味に市民権を与えた功績を記している。もうひとつ酒井順子の「女子鉄ライフのススメ・・・・・・?」というエッセイが面白かった。