夏至の蓮と睡蓮の池

睡蓮の蛙

 夏至。空梅雨が続いていたが、午後ににわか雨あり。じきに止む。公園の池に睡蓮の花が咲いているというので見に寄ってみた。池の蓮の葉には、さっきまで降っていた雨の滴(しずく)が水銀のように丸まっていた。この丸い池をのぞいているのは、私ともう一人肩にバッグをかけている男の二人だけだった。丸い池をゆっくり回るともなく歩みを進めて、ひたすら池の水面を眺める。睡蓮の広い葉がにごった水面に張り付いている。咲いた花は見当たらず、睡蓮のつぼみを二つ見つけた。その手前のコンクリートの池の縁(ふち)に蛙がいた。空は雨模様の雲行きで、蛙には過ごしやすい天気だ。
 池のあちこちで蛙たちが池に飛び込む音がした。
 睡蓮の葉っぱの上に座っている蛙を真上からみえる所でじっと観察する。デジカメを近づけても逃げない。ぐんぐん近づけた。もう逃げるだろう。まだ逃げない。えいやー! とシャッターを押す。
 肩にバッグをかけた男は、バッグから一眼レフのカメラを取り出して池の睡蓮や蓮の生えている水面へレンズを向けて屈みこんでいる。
 夏至の日の遅い午後。