建礼門院右京太夫

 夕方、月を眺める。上弦の月を少し過ぎた頃だ。野尻抱影の『星三百六十五夜』で十二月一日の「星月夜」を読む。
 建礼門院右京太夫の歌をめぐって野尻抱影の感想に注目する。『右京太夫家集』の長い題詞付きの歌で、題詞の述べる星月夜の描写が素晴らしい。

 月をこそ眺めなれしか星の夜の深きあはれは今宵知りぬる

NHK教育テレビのETV特集で「山田風太郎の見た日本〜未公開日記が語る戦後60年」を観た。朗読・出演に三国連太郎。語りに広瀬修子。『戦中派不戦日記』は読んだなあ。番組は戦後に書き続けられていた日記を朗読しながら、風太郎が世の中の出来事をどのように見ていたか感じていたかに、ぐいぐい引き寄せられてしまった。
 戦争中にシンガポールにいた井伏鱒二小津安二郎。井伏の『徴用中のこと』は中公文庫になった。