だじゃの木訪問記

センダンの若葉

 街路樹にセンダンの大きな木が、あちこち植えられている。若葉がみずみずしい。まだ花は咲いていない。『大辞泉』に、

 センダン科の落葉高木。暖地に自生する。樹皮は松に似て暗褐色。葉は羽状複葉で縁にぎざぎざがあり、互生する。初夏に五弁花を多数つけ、秋に黄色の丸い実を結ぶ。

 『蕪村句集』の夏之部のほととぎすを詠んだ句に、「岩倉の狂女恋せよ子規(ほととぎす)」がある。
 『ラパン』2000年夏号でラパンインタビュー「鶴見俊輔・近所を歩く」を読む。冒頭に〈春の岩倉。歩く哲学者が近所を道案内してくださった。ゆっくり歩きながら、ちょっと休みながら、いい話を聞いた。〉地図の雑誌であるからか、岩倉を歩きながらのインタビューだ。
 種村季弘の『東海道寄り道紀行』⑦は、「だじゃの木訪問記」である。美濃・揖斐川流域に「だじゃの木」を探しに出かける。美濃のどこかに日本列島の東と西の境の地に「だじゃの木」があるそうだ。それを目指して種村季弘の旅が始まる。あっちにふらふらこっちにふらふら、その一端をあわただしく歩く。