アキ・カウリスマキの映画『街のあかり』のこと

菊

 曇りで、夕方から雨になる。3日より上映されている、アキ・カウリスマキの映画『街のあかり』をサロンシネマ1で観る。最終上映時間で、観客は15人ほどだった。
 ヘルシンキの街で、警備員でひとり生きる主人公コイスティネンは、周りと迎合しない男。その人物像を描くカウリスマキ監督の映画のシーンは、どことなく影響を受けたといわれる小津安二郎の作風を連想させるところがある。
 少ない会話と場面の切り取りで、省略の美というか俳句的な軽みを感じさせる。ポエジーがある。
 音楽はタンゴやイタリア歌曲が流れて来て、不思議と映像にマッチしている。
 主人公は女にだまされて不幸になるのだが、ソーセージスタンドのアイラという女が最後の場面で、悪いやつらにやられて倒れているコイスティネンの所に駆けつけて来るシーンがある。ラストは温かなあかりのようだ。心に染みる。
 犬が最後の場面にも登場していて、その目の表情がいいね。
 カウリスマキの『浮き雲』、『過去のない男』に続く「敗者三部作」最終章の『街のあかり』。2007年はアキ・カウリスマキ生誕50年であるそうだ。
 予告編で、ウディ・アレンの『タロットカード殺人事件』と原作がチャールズ・ブコウスキーの映画『酔いどれ詩人になるまえに』を観る。