小津安二郎監督の『小早川家の秋』

ナツアカネ

 夕方、公園の池に寄り道。睡蓮の葉が浮いている。伸びた葦(あし)の葉にトンボを見つけた。
 体全体が目のあたりまで真っ赤な色をしている。ナツアカネの雄。
 ハスの白い花を見に人がやって来て、デジカメで撮影して去ってゆく。
 水巴の句に「白う咲きて昨日けふなき蓮かな」。

 赤トンボの一種。アキアカネに似て、夏季は頭・胸部が褐色、腹部が橙色であるが、秋になると、特に雄は鮮紅色になる。六月末から一〇月ごろまでみられる。 『大辞泉

 名作映画「小林桂樹特集」で小津安二郎監督『小早川家の秋』(1961年、宝塚映画、103分、カラー)を映像文化ライブラリーで観た。
 京都伏見、造り酒屋の小早川家の長男の嫁秋子を原節子(長男が亡くなった後、御堂筋の画廊に勤めている)、長女文子を新珠三千代、次女紀子を司葉子が演じている。
 長女文子の夫久夫が小林桂樹で大番頭である。
 造り酒屋の主人万兵衛(中村鴈治郎)が、十九年ぶりに競輪の帰りに出会った佐々木つね(浪花千栄子)と焼けぼっくいに火がつく。
 秋子と次女紀子の縁談の行方と、万兵衛を非難する長女文子とおろおろする夫の久夫。
 その万兵衛が倒れた。一度は元気になるが、再び佐々木つねの家へ出かけた時に、帰らぬ人となる。親戚縁者の集まった野辺送りの日、火葬場の煙突から煙が・・・。
 農夫(笠智衆)とその妻(望月優子)が農具を川で洗いながら、煙突を見上げてつぶやく。
 脇役に団令子、加東大介森繁久彌杉村春子藤木悠、内田朝雄など出演。
 英語のタイトルが「The End of Summer」というんだね。知らなかった。